西武涌井秀章投手(22)がWBC対策のために、メジャー使用球4ダース(48個)を自費で購入、「すべらない」対策に努めている。費用は推定10万円。NPB(日本プロ野球組織)から支給されたWBC使用球は1ダースだけで、これでは足りない、と練習だけでなく、日常生活からボールと触れ合い、慣れる作戦だ。

 キャンプ4日目、涌井は3度目のブルペンに入った。捕手を座らせて直球のみ75球を投げたが、抜け球が多く、マウンドで首をかしげた。「最悪でした。思った以上に滑ってイライラしました」。この日届いたメジャー仕様のロージンバックも合わず、ストレスをためこんだ。

 6日からキャンプ参加が決まったレッドソックス松坂からは「慣れるにはボールに触ることが一番」と経験にもとづくアドバイスを受けている。限られたボールの数を気にしながらでは、存分に練習できないため、業者に頼んで4ダースを購入した。

 投球後にフォームの修正点を指導した渡辺監督は「今はいろいろ考える時期。心配ないよ」と一笑に付した。昨年の北京五輪、日本シリーズと調整には苦労しても結果を出した。今はボールの対応にてこずるが、大舞台に強いエースの力を信じている。とにかくボールに触れることが、慣れるための近道なら、涌井が「おかわりくん」ならぬ「おさわりくん」となって「すべらない話」といきたいところだ。【柴田猛夫】

 [2009年2月5日9時36分

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