日本ハム多田野数人投手(28)が13日、公開のボーク対策練習に取り組んだ。昨季は12球団最多7個のボーク。先発登板した12日の紅白戦でも宣告されたことから、この日から本格的なボーク撲滅に着手した。ストップウオッチを使いながら、セットポジションの制止を意識する地道な練習に取り組み、不名誉なキング返上を目指す。

 芝生のサブグラウンドで、珍しい練習風景が公開された。ストップウオッチを首からぶら下げた多田野が、シャドー投球をするたびに所要時間を確認。投手陣の全体練習後、個別の課題練習で悪癖ボークの解消に乗り出した。「どの審判でも取られないようにしなければ」と力を込めた。

 この日の練習メニュー表には「ボーク対策16(多田野の背番号)」が明記された。12日の紅白戦で、セットポジションの動きが完全制止していないとされ、ボークを宣告された。昨季7個はリーグワーストで「僕はブラックリストに載ってますから」と自虐的に話すが、先発ローテ入りを狙う多田野の最大の克服課題だ。

 練習では多田野流の“15秒ルール”を採用。セットして固まった後、12秒前後まで完全制止してから、シャドー投球を行う動作を繰り返した。その後、ブルペンでも実際にボールを使い15秒をメドに投球する訓練を続けた。「自分の中で計ってできるだけ我慢して、癖づけること」と目的を話した。

 コーチ陣から「取り組んでいる姿を周囲に見せることも大事」と諭され、屈辱の公開トレーニングとなった。セットの体勢を制止する地味な練習だが、立ち会った島田プロスカウトは「セットした時、グラブの左手がパカパカする指の小刻みな動きも取られているらしいので、これは直すしかない」と話した。

 球界で話題に挙がるスピードアップのための「15秒ルール」対策とは逆行する珍練習。多田野は「すぐに効果が出るわけじゃないけど、次は少し進化した形を見せたい」と、次回の実戦登板を見据えていた。【村上秀明】

 [2009年2月14日10時16分

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