これが「真弓アタック」だ!

 26日に行われた阪神の紅白戦で、真弓明信監督(55)の理想の攻撃が早くも展開された。この試合が今季初実戦となった1番赤星が、初回にヒット&盗塁で突破口を開くと、2番関本が進塁打でチャンスメーク。3番起用が決まっている鳥谷が三塁打を放ち、鮮やかに先制点を挙げた。スピード感ある攻撃は、09年オーダーの大きな可能性を感じさせた。

 真弓阪神の「攻撃力」がベールを脱いだ。白組の初回。1番赤星が二遊間を破ると、すかさずサインが出た。行けたら行け-。ベンチの期待に応えて、二盗を決める。続く関本がカウント2-2と追い込まれてから、外角への際どい球をたたきつけ、進塁打でつなぐ。そして鳥谷だ。鋭いスイングで右中間を真っ二つ。俊足を生かして、一気に三塁を陥れた。先制のホームを踏んだ赤星は言う。「ああいう形がシーズンでできたらいい。いい形だったと思う」。再び1死三塁から、新井のタイムリーも生まれた。波状的な攻撃が安芸で展開された。

 このスピード感がたまらない。赤星-関本の1、2番コンビは昨年も見られたが、積極的な走塁を提唱する真弓色が加わって、さらに魅力的になった。「走れる所があれば、(バントで)アウトを1つやるよりも…。こういう点の取り方ができれば、理想的だ」と指揮官も満足げだった。初回以外にも、盗塁のサインを出しまくった。藤本、平野、メンチに関本…。エンドランも含めて、両軍に「GO」の号令をかけた。秋季キャンプから、走塁の意識向上を目指してきたが、この日も徹底して取り組んだ。

 09年オーダーの命運を握ると言っても過言でないのが、3番鳥谷の存在だ。ここが機能することで、打線の厚みは確実に増す。先制パンチを食らわせながら、さらにチャンスを残して、AK砲へとつなぐ。その後ろの6番メンチが本領を発揮すれば、相手投手に与える脅威は大。鳥谷は4回裏1死二、三塁ではセンターに犠飛を放ち、主軸の責任も果たした。「三塁打よりも(カウントが)追い込まれて、犠牲フライを打てたのが良かった」。

 最強の1番打者と言われた真弓監督の現役時代。スピードと破壊力が混在したスタイルが打線に乗り移った。真弓監督は「打ったのが、味方の投手なので、この辺のことも考えないと。喜んでばかりじゃいられない」と苦笑しながらも、どこかうれしげだった。【田口真一郎】

 [2009年2月27日10時20分

 紙面から]ソーシャルブックマーク