<オープン戦:オリックス1-4阪神>◇1日◇高知市営

 真弓阪神がついに待望の初勝利を挙げた。オリックスとのオープン戦に先発した5年目右腕の玉置隆投手(22)が、3回を無安打無失点とパーフェクトに抑えた。イニングの合間には花粉症でくしゃみが止まらず、はなをかみすぎて鼻血まで流れるアクシデントに襲われた。しかし抜群の制球力でオリックス打線を抑え込み、前日の石川俊介投手(23)の3回1安打無失点を上回る好結果を残した。先発4番手を争う孝行息子が2日連続で登場し、真弓明信監督(55)が対外試合4戦目で初勝利を飾った。

 真弓阪神に連日の孝行息子が誕生だ。22歳の入団5年目、先発玉置が新監督へ待望の初勝利をプレゼントした。

 初回は1番大村を4球で一ゴロに抑えると波に乗った。2回は浜中から一昨年秋に覚えたチェンジアップで空振り三振。3回には大引から得意のスライダーで空振り三振を奪った。直球は最速140キロ台だが、鋭い変化球を武器に3回を打者9人で抑えるパーフェクト投球だった。

 「ありがとうございました…ヘ、へ、ヘクシュン」。オリックス打線だけでなく、見えない敵・花粉とも格闘していた。「今日は(花粉症がひどく)アカンかと思ってましたけど、マウンドではアドレナリンが出て、集中できた。薬を飲もうかと思ったけど、飲むと副作用で集中力がなくなるんで」。薬に頼らず精神力で敵を封じ込めた。試合開始直前、ベンチ裏の壁に向かい、目を閉じながら精神統一する姿があった。登板前の儀式だった。

 四国地方の気象台によると、この日の高知市内の花粉飛散量は4段階の最高レベル。前日が雨で翌日が晴れの場合、飛散量が増大するため、玉置にとっては最悪の条件だった。「(捕手の)狩野さんがインコースで(打者を)起こそうとしてくれたので、腕を振って投げれば、甘く入っても打たれないと信じて投げた」。狩野の要求にこたえ、北川、浜中らのインコースを思い切って攻めた。

 前日には先発の座を争うライバル石川が好投していた。「腕がちぎれてもいいくらいに思って投げた」。昨季ファームで、リリーフとして全88試合の半分の44試合に登板した経験がある。だから、口癖は「大丈夫、今の僕なら大丈夫」。スライダーの握りも「カウントを取る時、三振を取りに行く時と変えている」。2年前にはフォークを覚え、球種を増やしている。着実に進化していた。

 久保投手コーチは「練習で何千球と投げてきたんだから、自信がプラスになってる。特殊球(チェンジアップ)があるから、追い込んだらおもしろい」と評価した。昨季も中継ぎ要員として1軍で3試合登板。この勢いで今季は先発4番目の候補にまで浮上した。開幕1軍はもちろん、プロ初勝利も期待できる男になった。【村上久美子】

 [2009年3月2日12時9分

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