<日本ハム6-9楽天>◇5日◇札幌ドーム

 ノリノリで楽天が初の開幕3連勝を飾った。楽天中村紀洋内野手(35)が日本ハム3回戦で、連日の決勝打を含む4安打5打点の大暴れ。初回に移籍後初アーチを放つと、9回に同点中前適時打、11回には左翼線へ決勝の適時二塁打を放った。5時間を超える熱戦となり、予定していた仙台行きの飛行機にもノリ遅れたが、野村克也監督(73)に南海時代以来となる33年ぶりの開幕3連勝をプレゼントした。

 決着をつけたヒーローが真っ先に謝った。延長10回終了時に札幌ドームを後にした17人を除く、選手、関係者の計49人が札幌-仙台の最終便に乗り遅れた。さらにほとんど全員が私服を同機で送ってしまい、着替えが移動用スーツしかなくなってしまった。この事態に中村紀は「僕のせいです。すいません」と、約20分遅れの張本人とばかりにペコリ。「でも、おれは私服はいつも手持ちだから」と照れくさそうに話し、爆笑を巻き起こした。なにせ、9回に同点打を放ったのがノリなら、11回に試合を決めたのもノリだった。

 11回1死二塁のチャンスで打席に向かう前、野村監督と目が合った。「任せたぞと言ってもらいました」。カウント1-2から頭部付近に抜けてきたボールに思わず倒れ込んだ。「あれで火がついた」。直後の甘い直球を思い切りひっぱたいた。痛烈な打球は左翼線に弾み、日本ハムにとどめを刺した。

 初回2死一塁から高めの変化球をフルスイングし、左翼越えに移籍初となる1号2ランでリードを3点に広げた。2点を追う5回と1点差の9回は、いずれもコンパクトに振り抜き中前に転がした。「なんとかしたいという気持ちだった。(本塁打は)自然にバットが出て上がってくれた」と言った。野村監督も「いい仕事してくれるね。見事なホームラン。ちょうどおれの席から真正面。ポール際に飛んでいく景色は、いいな」と喜んだ。

 歓喜の涙を見るために来た。昨年11月、中日からFA宣言した際に、野村監督から「枯れたヒマワリ」とラブコールを送られた。ヒマワリは野村監督にとって、ONをはじめとするスター選手の代名詞。能力を認める言葉に心を動かされた。さらに「高下在心(こうげざいしん)」と書かれた色紙を贈られ楽天入りを決意した。物事がうまく運ぶかどうかは、心がけ次第という意味の言葉だった。

 今年2月の久米島キャンプ初日、全体ミーティングで新入団選手としてあいさつした。自己紹介のマイクを持つと「監督、辞めさせませんよ。辞めさせませんから」と、身を乗り出してすごんだ。球団から1年契約を伝えられている監督へ、ストレートに伝えた思いだった。この日の大活躍に野村監督は「なぜノリは楽天に来たんだろう?」とポツリ。報道陣から「監督を1年でも長く続けさせるため」と指摘されると「涙が出るなあ」と目を細めた。

 球団初の開幕3連勝で、チームの雰囲気は早くも最高潮。野村監督も「中村は4番の方がいいですかな。どうですかな、みなさん」と“新4番”を報道陣に問いかけた。本人は「勝てる時に勝っておかないとね」と気を引き締めた。胴上げで野村監督を大泣きさせるために、ノリが働く場面はまだまだたっぷりある。【小松正明】

 [2009年4月6日8時36分

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