それでも走る!

 阪神が真弓明信監督(55)の進める「走塁革命」に見合った「好走塁ボーナス」の導入を準備していることが13日、分かった。年俸に反映される査定項目の中で、好走塁のポイントを重視するよう検討している。東京ドーム3連戦では宿敵巨人に2敗1分け。勝ち越し機に重盗や本塁突入に失敗するシーンもあったが、積極果敢な姿勢が鈍らないためにも、球団側も「真弓の考え」を後押しする構え。14日からの中日3連戦(甲子園)も機動力を前面に押し、勝率5割復帰を目指す。

 銭はグラウンドに落ちている-は昔のかけ声。今や、銭は1つ先の塁に落ちている。阪神が球団を挙げて真弓監督の「走塁革命」を支援する。開幕から積極的な走塁を仕掛ける真弓阪神で、好走塁に対する「ボーナス」の導入が検討されていることが分かった。

 選手の年俸を決める査定項目は野手、投手ともに200項目以上にわたり、担当者が毎試合、チェックして数値化している。打者では出場数や安打数などとともに、元来から「好走塁」という項目があった。試合でいい走りをすれば査定ポイントが上がり、年俸増につながるという仕組み。この項目を、真弓監督が目指す野球に合致するよう、分厚くする構想があると球団首脳は言う。

 「これまでもそうだが、査定の評価は監督、コーチの見解も聞いている。今季はベンチが積極的な走塁を進めるのだから、査定にも反映するのが自然。ポイントを高くするか、適応の幅を広げるか、やり方はいろいろある」

 虎党は歯ぎしりしただろうが、12日までの巨人3連戦で「走るトラ」は名前とおりに果敢に動いた。連敗で迎えた3戦目。9回表にクルーンを打ち込み同点とし、さらに無死一、二塁と攻めた。バント失敗後、新井と関本が重盗を仕掛けてチャンス拡大を狙ったがあえなく失敗。二塁に残った関本はメンチの中前打で本塁を突いたがタッチアウトになった。

 延長10回には2死から四球で出た桜井が盗塁を試み、投球前につり出されてしまった。もったいないように映るシーンの連続だったが、試合後に真弓監督は「重盗はサイン。走って何とかしようと思った」と語り、コーチ陣も結果にとらわれずこれからも走る姿勢を強調した。基本姿勢は少しも崩れてはいない。真弓監督は就任時から機動力の重視をうたい、意識付けをしてきた。キャンプ中も走塁練習に時間を割き、3月11日の楽天とのオープン戦では4盗塁を成功させて敵将の野村元監督を驚かせた。

 開幕から3カードで3勝5敗1分けと波に乗れない。攻撃では4番金本の大当たりが目立つが、さらに得点力を上げるには真弓監督の目指す機動力アップは必要不可欠だ。そんな状況を支援するように、球団も好走塁にボーナスを用意。走りに走って、上位進出を図る。14日からの中日戦でも勇敢な走塁が見られるはずだ。

 [2009年4月14日11時0分

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