<広島5-0巨人>◇28日◇マツダスタジアム

 スタンドから降り注ぐ“オオタケ”コールが心地よかった。広島大竹寛投手(25)は、手にしたウイニング・ボールを一瞬投げ入れようと思ったが、やめた。投げ入れるのは、さすがにもったいなかったからだ。今季初勝利。しかも巨人に勝ったのは06年9月18日以来、953日ぶりというから感慨深い。さらに巨人戦初完封のおまけつきだ。

 昨秋から習得に取り組んだチェンジアップを有効に使った。序盤に多投し、中盤からは要所で使った。6回1死二塁で小笠原に左前打されるが、左翼広瀬が好返球で走者を本塁で刺してくれた。続くピンチも、亀井をやはりチェンジアップで仕留め切り抜けた。「広瀬さんには本当に助けられた。低めへ決まっていたので、きょうが一番多くチェンジアップを使いました」と満足そうに汗をぬぐった。

 好投しながらも、広島の先発ローテーションでは、1人だけ白星がなかった。「勝ちがつかなくても、チームに貢献できる投球を心掛けていた」と言うものの、先発陣と談笑しているときに、ふと「オレは一緒に笑っている場合じゃないぞ」と焦燥感を募らせることもあった。

 チームは首位巨人に強い。引き分けを挟んで3連勝。勝率5割にも復帰した。コイの季節直前に、大竹がチームに勢いをつけた。【高垣誠】

 [2009年4月29日9時7分

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