<広島2-0巨人>◇29日◇マツダ

 広島が巨人との接戦を制して、今季最長の3連勝に伸ばした。決勝打を放ったのは、プロ11年目の東出輝裕内野手(28)だ。0-0で迎えた5回に中前適時打を放ち、先制点を挙げた。開幕から高打率を維持し、この日は勝負強さも見せつけた。4月の月間MVP候補に挙がっており、ナインを力強く引っ張る。先発斉藤悠葵投手(21)も5回無失点で今季2勝目。今季巨人戦は、無傷の4勝1分けになった。

 二塁定位置から伝わる背番号21の熱気に報いたかった。東出が勝負どころで意気に感じた。スコアレスのまま突入した5回裏。攻略できずにいた巨人先発東野から2死一、二塁の好機を築く。打席に入り、集中力を高める。真ん中速球をジャストミートし、ライナーで中前にはじき返した。貴重な先制タイムリーを放ち、ナインを勇気づけた。

 東出

 (先発の)斉藤君が踏ん張っていたので、斉藤君のことが打席で浮かんできましたね。(直前に斉藤が代打を送られ)代わっているわけだし。あれだけ頑張っていたので。

 若き左腕に白星をつけたい一心だった。勝利を追求する気持ちは人一倍強い。開幕前日の4月2日。練習を終えて引き揚げる東京ドームの通路で、戦闘態勢を整えたチームへの手応えを問われたとき、こう答えた。「まだまだです。篠田も斉藤もオープン戦で不安定だった。未知数な彼らがやってくれないと勝っていけないんです」。あえて厳しい言葉を発したのも、一丸となって上位浮上を目指すからこそだ。

 ゲキを飛ばすからには、キャプテンシーも示す。結果的に決勝打になった中前適時打は、必死で戦う斉藤への“愛情”を示す1打だった。開幕から好調を維持し、25日の阪神戦を終えた時点で打率4割3厘。首位打者に躍り出た。打率部門の上位に名を連ねるが、心のスキは一切ない。

 東出

 (ここまで)変な波がないですよね。でも、落ちてくるんじゃないですか。基本的にマイナス思考なんです。いいとも思わないし、それが(好調が)続いている要因でしょう。

 接戦を制し、貯金1に戻した。開場以来最多の3万1773人が集まったマツダスタジアムのお立ち台で叫ぶ。「明日(30日)勝つと、4月勝ち越しになります。明日、先発は誰ですか?

 このままもらえるということ。頑張ります!」。冗舌に話し、ムードを盛り上げた。円熟の域に達したヒットマンの音頭に乗って、まずは目先の1勝を奪いに行く。【酒井俊作】

 [2009年4月30日10時48分

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