<ソフトバンク0-7ロッテ>◇13日◇北九州

 沖縄・石垣島出身のロッテ大嶺祐太投手(20)がプロ初完封をやってのけた。13日、ソフトバンク戦(北九州)で6安打6奪三振1四球で堂々の投球。井口資仁内野手(34)の4試合連続本塁打など5発の援護をもらい、スイスイ投げ切り、チームを4位に浮上させた。この日が59回目のバースデーとなるボビー・バレンタイン監督に、勝利という何よりのプレゼントを渡した。

 手にしたボールをおもむろに差し出した。ロッテ大嶺はプロ入り初完封のウイニングボールを惜しげもなく、バレンタイン監督にプレゼントした。「最初から決めてました。監督の誕生日だったんで。惜しいとは思いませんでした」。孝行息子の快投の証しをユニホームを脱いで両手で受け取った指揮官は「これ以上のプレゼントは望めない。初完封のウイニングボールをくれるなんて、これ以上ないと、喜びをかみしめている」と感動に震えた。

 両翼92メートルの狭い球場での完封には価値がある。味方打線の5本の本塁打が出るたびに「怖い」と思ったと言うが、キレのある直球と精度を増したチェンジアップでソフトバンク打線を牛耳った。「完封は意識してませんでした。いつホームランを打たれるかと思って投げてました」と振り返る。その言葉とは裏腹に、低めに構えるミットにボールは収まった。「あれだけ低めに来れば、打球はそんなに上がらない」と里崎も納得の投球だった。

 4日の日本ハム戦(千葉マリン)では四球で塁を埋め適時打を許す最悪の内容で、4回も持たずに降板した。今回の登板に備えて、良い時と悪い時のビデオを徹底的に見比べた。「すべてのバランスが悪かった。1発に気をつける前に、ストライクを投げることが大事」。投げてみないと修正できるか自分でも不安だった中、腕が振れた。「今日はマウンドが合っていたかもしれません。傾斜が緩くて投げやすかった」と好投の要因を振り返った。

 沖縄県石垣島出身の右腕の完封は、日本人では最南端出身選手の記録となる。八重山商工のエースとして甲子園を沸かせた男が、プロの世界で脚光を浴びた。しかも相手は高校時代にあこがれたソフトバンク。「やっと勝てました」と、はにかみながら「次からもこういう投球をしていきたい。どんどん勝てるように頑張ります」と手ごたえを口にした。背番号「1」に恥じない、真のエースへの足掛かりにする。【竹内智信】

 [2009年5月14日8時41分

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