<オリックス1-3西武>◇14日◇京セラドーム大阪

 この男たちの復調なくして、西武の浮上はありえない。不振に悩むGG佐藤外野手(30)と片岡易之内野手(26)がそれぞれの個性を生かした本塁打を放ち、今季初の同一カード3連勝を飾った。2回、GG佐藤が京セラドームの左中間6階席まで運ぶ特大の6号ソロで先制。5回には片岡が自身初のランニング本塁打。中前のライナー性の打球をオリックス坂口が後ろにそらす間に、俊足を飛ばして一気に生還した。

 激走で勢いを呼び込んだ片岡は「勝ちたい一心で走りました。3安打?

 でかいっすね。こういう時はヒットが何よりの薬なんで」と必死な思いがあふれた。打率を2割3分台まで落とした前日、WBCでチームメートだったヤクルト青木に電話し「内角攻めを意識しすぎていた。ファウルを打つ感じで右方向に狙った」。重心を極端に落とす青木打法を取り入れるなど試行錯誤した成果は、これから本当の勝負を迎える長いシーズンで生かされる。

 今季初の2試合連発に手ごたえを感じたGG佐藤は「ナウいバッティングができました」と喜んだ。ファンに発信するコメントにこだわりを持つ。今年のテーマは「死語」の活用。「ナウい」「ヒューヒューだよ」と、かつて流行した言葉をよみがえらせようとしている。古き良き時代を大事にする男がひたすら求めるパワフルな打撃は、流れを一変させる力を持つ。

 ボカチカの10号ソロも飛び出し、得意の一発攻勢で3連勝。今年は4番中村が絶好調でも、周りを固める打者の不振がチーム成績に影響していただけに、渡辺監督は「打線に兆しが出てきたね」とニヤリ。キーマン2人の奮起をきっかけに、出遅れた王者が攻勢に転じる。【柴田猛夫】

 [2009年5月15日8時30分

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