<ヤクルト2-1阪神>◇15日◇神宮

 アレレ…、猛虎打線が一夜にして貧打に逆戻りした。14日広島戦で12安打を浴びせた快勝した勢いはどこへやら。神宮に乗り込んでのヤクルト戦は、初回アニキの適時打で先制も、ヒットはこの回の3本だけじゃ勝てない。2軍で絶好調だったメンチ外野手(31)を昇格即、スタメン起用したが、2打数ノーヒット。真弓監督の期待に応えられず、ストレスのたまる敗戦だ。

 起爆剤になれなかった助っ人に、容赦なく罵声(ばせい)が飛んだ。「メンチー、なんで帰ってきたんだ」、「桜井を使えよ!」。耳障りだったのだろう、24日ぶりの1軍ゲームを終えたメンチはヘッドホンを頭からかぶり両耳をふさいで歩いた。

 わずか3安打、1得点での敗戦だ。それも1回に4番金本が放った先制打が“打ち止め”。以後は打者28人が無安打では、メンチ1人の責任とは言い切れない。ただ1回2死一、三塁とたたみかける絶好機で二飛を打ち上げ、期待したファンのため息を一身に浴びてしまった。

 「チームとして3本しか打てていない。相手投手がよくて納得のいく打撃はできなかった。自分としても明日からやるだけだ」

 ヘビーメタルの激しいサウンドを聞きながら、メンチは話した。ウエスタンリーグ戦を10試合こなし、打率4割8分3厘、2本塁打と当たりを取り戻して1軍復帰した。前日14日の広島戦で右翼桜井が2二塁打を含む猛打賞と大暴れしていたが、首脳陣はお目覚めを信じてメンチを先発起用。1四球こそ選んだが内野フライ2本と快音は出ず、結果的には裏切った。

 「まあ、今が一番よくなっている時。球はしっかり見えているし、打たされた凡退ではない。ファームに行く前とは違っている。かなり体全体を使って打てているしね」

 真弓監督は、メンチの変身ぶりを解説してかばった。2軍首脳の推薦を受けて1軍合流を即決。試合前のフリー打撃にも密着し、自信を持ってスタメン表に書き込んだ。四球出塁した4回には絶妙の盗塁スタートを切るなど(打者平野が捕邪飛)メンチはパワーが有り余っている様子。それがバットを通じて白球には伝わらなかった。

 「貯金はできないけど、とにかくチーム状態をよくして交流戦を迎えたいということ」

 勝率5割に戻してセ・パ交流戦、と真弓監督が描いていた青写真は崩れた。上り調子桜井を控えてまで使ったメンチが本格化しないと、返済どころか多重債務になってしまう。

 [2009年5月16日11時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク