<阪神7-2ヤクルト>◇3日◇甲子園

 降りしきる雨をものともせず、先発・安藤優也投手(31)が今季6勝目をマークした。8回を投げ6安打2失点。今季2度目の完投勝利こそ逃したが、前夜(2日)逆転勝ちして戻ってきた本拠地で、しっかりと白星をつないで見せた。「こういう天気は慣れてるから」。この日は練習後から強い雨が降り続き、試合開始は9分遅れ。マウンドもぬかるんだ状態と最悪のグラウンドコンディションだったが、臆(おく)することはなかった。

 状況に沿った、頭脳的な投球だった。一向に雨脚が弱まらない序盤は、初球からストライク勝負。いつ試合が中断になってもおかしくない中、試合が成立する5回までに対戦した打者19人中15人が初球ストライクだった。球数も58球と省エネ投球。ヤクルト打線の早打ちにも助けられたが、序盤でリズムを築いたことが打線の大量得点にもつながった。「とにかく気持ちの問題だった」。大粒の汗?

 雨?

 をぬぐいながら、言葉をつないだ。

 必死だった。今季も開幕投手を務め、球団では34年ぶりとなる2年連続開幕勝利を手にした。ただ、その後は成績に伸び悩み、一時は黒星が先行。それでも周囲からは「エース」と呼ばれ、その名が1人歩きすることに「自分は何年も続けて成績を残した訳じゃない。そう呼ばれるのにふさわしい成績を残さないといけない」と違和感を抱く。だからこそ、周囲の期待に応えられる自分を追い求め、交流戦明けから左足を高く振り上げる、投球フォームの微調整に乗り出した。

 前回6月26日の横浜戦(甲子園)では今季5勝目を挙げたが、手応えなし。苦闘の連続だったが、今回は雨の影響でぬかるんでいたマウンドで足を滑らせないよう、踵から足を踏み出そうとしたことが効果てきめん。スムーズな体重移動が自然と生まれ、球に力を伝える理想の投球に近づいていた。降りやまない雨さえ、この夜は安藤を味方していた。

 「昨日はいい勝ち方をした。今日は3連戦の頭だったし、取れてよかった。完投?

 次はね。頑張ります」。次回は10日巨人戦(甲子園)先発が有力。雨がもたらした偶然とはいえ、上位進出のカギを握る男にとって、浮上のきっかけをつかんだ108球だったに違いない。【石田泰隆】

 [2009年7月4日11時41分

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