<西武4-3日本ハム>◇8日◇西武ドーム

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が、まさかの1発攻勢に屈した。2回に中村に、12試合94イニングぶりの1発を浴び、7回には代打上本に逆転弾を許した。1試合2被本塁打は昨年5月以来。7回を投げ今季最多の4失点で3敗目を喫した。エースで敗れたチームは今季最多の4連敗となり、首位ソフトバンクとの差は1・5ゲームに広がった。

 エースの使命を果たす責務は、強烈な打球とともにかなたへと消えていった。ダルビッシュが上空を見上げ、久々の敗北感に浸った。1点リードの7回1死二塁。代打上本の意地の一振りに屈した。カウント1-2から内角を狙った145キロ速球が、真ん中へ入る。右中間へ運ばれる、完ぺきな逆転、決勝の2ランを浴びた。「うまいこと打たれました。打った方がすごい。向こうがうまかった」。淡々と賛辞を並べた敗戦の弁に、本当の胸の内が透けて見えるようだった。

 投手に失投はない-。自身のポリシーを貫き、相手を持ち上げたが、少なからずスキはあった。上本とは初対戦。直球に的を絞ってくる可能性が高い場面だった。0-1からの2球目にカーブで空振りを奪ったが、ほか3球は速球で、しかも痛恨の1球はコースは内角。球種、サイン決定の主導権は鶴岡ではなく、ダルビッシュにあるだけに、中嶋兼任バッテリーコーチは、責めた。「あれはないやろ。長打を警戒しないといけない場面で内角は。よっぽど力で抑えられると思ったんじゃないか」。梨田監督も「不用意というか…。打った方がすごいんだけど」と過信を、最悪のシナリオへの伏線に挙げた。

 チームは今季初の4連敗。大黒柱の真価が問われる、重要な一戦だった。「状態はいつも通り。真っすぐもツーシームも良かった」。ダルビッシュも手応えがあっただけに、力勝負を臨み、裏目に出た。2回には、中村に内角128キロのスライダーを左翼席まで運ばれた。ファウルのように見えたが、判定は覆らなかった。「中村さんに聞けば分かるやろうけど、ファウルだと思って(中村が走りださず)ホームで止まったんやろうし。あのコースのスライダーが本塁打になるわけがない」。自信、確信が詰まった2球を、いずれもスタンドインされる、完敗だった。

 追いかけるはずの首位ソフトバンクに1・5差へと広げられた。4月17日西武戦でボカチカに喫して以来、今季3本目の1発を浴びた。12試合、94イニングぶり、前回被弾から打者354人目だった。今季初の1試合2被弾の締めは、プロ入り5年目で初めて浴びた代打本塁打。ダルビッシュのすごさを逆に物語るような、記録ずくめの1敗になった。「チームが勝っている時に負けるのはいいけれど、負けている時に負けてはいけない」。西武時代の松坂らを知る中嶋兼任コーチは、ダルビッシュに課せられた重責を説いた。「いつも毎回、勝ちたいと思っている。やりたいことをやりましたから、しゃあない」。ダルビッシュが目をそらさずに現実を受け止めていたことが、唯一の明るい材料だった。【高山通史】

 [2009年7月9日10時38分

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