<ソフトバンク1-0楽天>◇10日◇福岡ヤフードーム
楽天田中将大投手(20)が先発し、9回を137球、無失点に抑える見事な投球をみせた。11安打されても要所をピシャリと締めて6奪三振。9回を粘って投げ抜いた。女性タレントとの「お泊まりデート」が写真週刊誌に撮られ、球団から無断外泊での厳重注意を受けたが、騒ぎも吹き飛ばした。チームは0-0の延長11回、サヨナラ負けを喫したが、首位に堂々と立ちはだかるマー君の投球が光った。
最後は雄たけびもろとも投げ込んだ。9回2死二、三塁。田中は1つのミスも許されない状況で、気迫を最大限に放出した。136球目にこの日最速の152キロをマークすると、最後も151キロの速球で空を切らせた。「(真っすぐの)感覚はよかった。ここぞというところで、真っすぐで押せた」。今季最多となった球数の中で、オーティズに対し5球連続直球の真っ向勝負。窮地を自力で脱出すると、若者は一段と大きな声を張り上げた。
我慢の連続だった。9回で降板するまでに被安打11。それでも本塁だけは許さなかった。「首位のチームだし簡単には投げされてくれなかった」と、苦闘を振り返った。粘りの投球でソフトバンク戦18イニング連続無失点。この日も点を許さなかった。
27個のアウトを取るためにすべてを出し切った。野村監督がベンチ右端に座っていた田中に歩み寄った。野村監督は「よう投げたから労をねぎらったんですよ」。田中は、笑顔で頭を下げた。これまで好投しながらの途中降板にボヤき続けてきたが、この日の投げ様には感服した。
雑音にも揺らぐことはなかった。この日、写真週刊誌「フライデー」にタレント・もりちえみのマンションを訪れる姿が掲載された。各メディアで大々的に報じられ、登板直前の心をかき乱す表現や要因もあった。グラウンドに向かう途中では「登板前なんで」とひと言だけ発し、試合への集中を高めた。試合後も「今日は野球をしに来たので、野球の話だけでいいでしょう」。飛び交う言葉と集まる視線に耐えた男は、自らの仕事を全うすることだけに全力を尽くした。試合前、野村監督は「ルールは外してないんだろ?
4歳上、ちょうどいいじゃないか。うらやましいよ」と笑いに変えた。監督流の気遣いでもあったが、チームを背負う20歳の心は想像以上に強くたくましかった。
6月11日以来、白星から離れたプレッシャー。女性問題で騒がれるストレス。今季初めての137球。すべてをはねのけた。次回登板に向け「考えることはいろいろあるんで、次につながるようにしたい」。1カ月ぶりの白星こそ手にできなかったが、田中の心身の強さが、ひときわ輝いた。【小松正明】
[2009年7月11日8時19分
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