<日本ハム7-6ロッテ>◇12日◇札幌ドーム

 日本ハムが、二岡智宏内野手(33)の移籍後初のサヨナラ打で劇的フィナーレを飾った。12日のロッテ戦は9回に守護神・武田久投手(30)が3点差を追いつかれる苦しい展開となったが、延長12回2死二、三塁の場面で代打出場の二岡が右中間に決勝適時打を放ち、4時間59分の激闘に終止符を打った。チームは5連敗の後、本拠地に戻り3連勝。勢いに乗って14日からはソフトバンクとの首位攻防3連戦に臨む。

 右中間を転々とする白球がフェンスに到達するころ、マウンド付近では笑顔のヒーローがもみくちゃにされていた。延長12回2死二、三塁の場面で、代打二岡の一振りが、4時間59分の熱戦に終止符を打った。「とにかく、打たないと試合が終わるので…。ガッツポーズが出た?

 サヨナラを打ってガッツポーズをしない人もいないでしょ」。巨人時代の06年7月27日広島戦(東京ドーム)以来、自身9度目のサヨナラ打に、自然と表情は緩んだ。

 プレーボールが遠い昔のことのようだった。ベンチで出番を待つこと5時間弱。東京から新幹線に乗れば九州まで到達できる長時間、ゲームから気持ちを切らすことなく見守ってきた。声がかかったのは延長12回、先頭の小谷野が右前打で出塁してからだった。「(出番の)ちょっと前にヘッド(福良コーチ)に伝えてもらっているのでその辺は大丈夫です。すぐに気持ちを切り替えて、スイッチが入るようにはできています」と心強い。シーズン序盤のころのようなとまどいは消えていた。

 14打席、安打から遠ざかっていた。「状態は悪くなかったけど、打つべきボールを打てていなかった」。反省点を頭に描き、この日は初球からフルスイングした。内角を直球でグイグイ攻められても腰は引かなかった。カウント2-1から初めて投じられた変化球を右中間へ。「うまく拾えたなという感じ」。経験と技術が生んだ、劇的な決勝打だった。

 新天地への移籍、北海道への引っ越し、そして関東の球団では経験できない長時間の飛行機移動。慣れない環境が、見えない疲労を蓄積させた。6月には原因不明のせきが出始め、それが2週間以上おさまらなかった。それでも、裏では打撃練習を続け、ベンチではチームメートの笑いの輪に加わった。

 苦しんでいても表に出さないことが、仲間から好かれる要因でもある。今月上旬の函館遠征では、巨人時代の戦友ソフトバンク小久保に食事に誘われ、ともにした。チームの垣根を越えて愛されるキャラクター。初めて上がった札幌ドームのお立ち台では、スタンドからも温かい拍手が降り注いだ。「一言一言に反応してもらって、よかったです」。ヒーローの甘いマスクは、“婚活”に励む女性ファンのハートをもがっちりつかんでいた。

 14日からは首位ソフトバンクとの3連戦を迎える。梨田監督は「二岡は右方向に大きいのを打てるからね。(ソフトバンクには)函館で連敗しているので、勝ち越せるようにしたい」。長時間ゲームの疲労感を楽しんでいるようだった。【本間翼】

 [2009年7月13日9時45分

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