<中日4-0広島>◇12日◇ナゴヤドーム

 サンデー川井が球団新記録を達成した!

 中日川井雄太投手(29)が広島12回戦(ナゴヤドーム)でプロ初完封。開幕からの連勝記録を球団新の「9」に伸ばした。今季の勝ち星はすべて日曜日。この日の白星で勝ち星は再びリーグトップタイとなった。これでチームは広島戦8連勝。貯金も昨年5月9日以来となる2ケタの10とし、再び2位ヤクルトにゲーム差なしに迫った。

 思わず涙がこみ上げてきた。今季5度目のお立ち台。いつもは優しい笑顔を見せる川井の目が、潤んでいた。球団新記録となる開幕9連勝。そして、それ以上にうれしかったのが、プロ初完封だ。

 川井

 最高です。気付いたときには8回だった。こういうチャンスもめったにないんで(森バッテリーチーフコーチに)『行かせてください』と言った。自分でも完封できるなんて思っていなかったし、まさか(球団新記録を)自分がとれるなんて思わなかった。野手の皆さんに助けてもらっているおかげです。

 こん身の124球だった。許した安打は8本。毎回のように走者を背負った。最大のピンチは7回。先頭マクレーンを四球で歩かせ、続く広瀬に左前打を許したところで、森コーチから「点は入るのはしょうがないから、1つずつアウトを取っていけ」と、ゲキを入れられた。

 川井は「何とか切り替えて、冷静になろうという気持ちだった」という。その直後、赤松に中前打を許し、満塁とピンチを広げられたが、続く倉を投ゴロの併殺打に打ち取ると、代打嶋も110キロのスローカーブで空振り三振。マウンド上で力強いガッツポーズで飛び跳ねた。

 昨年は4月にプロ初勝利を挙げた後、9度の先発機会を与えられながら、1度も勝ち星をつかむことはできなかった。だが今年は開幕から負けなしの9連勝。6月7日の西武戦からは6戦連続の白星だ。「前はランナーが出たら焦っていたこともあったけど、今は点をやらなければいいという気持ちで投げている」。精神面での成長が、結果につながっている。

 今年からMr.Childrenの「HANABI」をテーマ曲にして打席に立っている。掛かるのは「もう1回、もう1回、もう1回、もう1回、僕はこの手を伸ばしたい~♪」というサビの部分。「別に狙ったわけではないんですけど、いい曲だなと思って。この曲、本当に好きなんです」。この日もお気に入りのフレーズを耳に、目の前のアウトを求めて必死に腕を振り続けた。

 この日の勝利で、川井は84年の都、97年の山本、01年の野口、06年の佐藤充、08年の吉見が持つ開幕8連勝の球団記録を更新。落合監督も「まあ本人に聞いてくれ。初完封したんだから、選手を前に出してやってくれ。監督はどうでもいい」と、手放しでほめたたえた。そして次の節目は2ケタの10勝。前半戦で大成長を遂げた左腕なら、ただの通過点となるかもしれない。【福岡吉央】

 [2009年7月13日10時26分

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