<日本ハム1-2ソフトバンク>◇1日◇札幌ドーム

 右翼席のタカ党が総立ちになった。逆転を告げるソフトバンク松中信彦外野手(35)の打球が頭上から舞い降りた。1点ビハインドの8回だ。2死二塁で3番手建山とマッチアップした主砲の神経はさえていた。カウント1-3からの5球目は、4球目と同じ内角高め直球。見逃すはずがなかった。「1球目から勝負してくる感じだったのでしっかり集中できた。あそこで打たないといけないという意地があった。飛んだでしょ?

 完ぺきでした」とご満悦だ。

 オールスター第2戦で2本塁打し、MVPを獲得。2本目は中日吉見の内角球にフェード回転をかけて右翼ポール際にねじ込んだ。各球団の強打者たちが舌を巻くひと振りだが、実は松中の本塁打の多くがジャストミートしていない。「芯の手前で打つんです」。あえて詰まらせるのはファウルにしないためと打球の高さを確保するためだ。バットの先から10センチほど手前の10センチ幅に芯があり、そのさらに手前の10センチくらいの間で球をとらえる。スイングごとにバットのボール痕を見るのは、どこで打ったか再確認するため。詰まりすぎると折れてしまうが、ミクロの感覚で「芯外し打法」を維持する。

 区切りの50勝。渋面の続いた秋山監督も「今日はワンチャンスだったな」と晴れやかだ。直接対決で日本ハムと3ゲーム差。首位奪回はそう遠くない将来に訪れる。【押谷謙爾】

 [2009年8月2日8時44分

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