<オリックス0-8楽天>◇5日◇京セラドーム大阪
初勝利が歴史的な1勝になった。楽天のドラフト1位ルーキー藤原紘通(ひろみち)投手(24)がオリックス戦で1安打の無四球完封でプロ初勝利。5度目の先発はわずか98球、打者27人で仕留める「準完全試合」。5回、先頭ローズに右前打を許し、併殺で切り抜けるとその後はスイスイ。期待されながらキャンプ中に左肩を痛め、6月にやっと1軍昇格。遅れてきたルーキーが、逆転Aクラスへの救世主となれるか-。
初勝利の瞬間は真顔で見つめていた。藤原は右飛で27個目のアウトが成立するのを見届けると、捕手の嶋に向かって柔らかな笑みを見せた。「勝てる気がした?
全然です。最後まで気を抜かないようにしていたんで」。淡々と投げ続けた98球で、わずか1安打、打者27人で抑える“準完全試合”。新人投手としては87年の近鉄阿波野以来となる快挙で、プロ初勝利を自ら演出した。表情を崩さないことで平常心を保ち続けたルーキーは、苦労の末につかんだ白星にようやく笑顔を解禁できた。
新人らしからぬ投球術が、悲願の1勝を運んできた。立ち上がりから90キロ台のスローカーブを有効に使った。「カーブが決まったのが良かった。いつもストライクが取れなかったんです。今日はその分、楽に投げられました」と自己分析した。入団当初、140キロ台半ばの直球が売りだったが、変化球の評価はいまひとつ。プロ入り後にチェンジアップ、スローカーブの習得に精を出してきた。直球の最速は140キロ。スローカーブは93キロまで球速を落とした。左腕から操る47キロの球速差がオリックス打線の芯をことごとく外した。
失敗を成功の糧にした。7月8日のロッテ戦、7回1死まで無安打無失点の快投を演じたが、結局7回1/3を3安打3失点で初勝利すら逃した。「勝つって難しいですねえ」とつぶやいた。この日も4回までパーフェクト。だが5回、先頭のローズに右翼線への安打を打たれた。「打たれた時に気持ちがぶれないようにと心掛けた。早めに1本打ってもらって、逆に良かった。パーフェクトなんて運もありますから」と落ち着いていた。緊張に押しつぶされた日から1カ月。左腕は確実にたくましくなっていた。
新たなヒーローの誕生で、チームは7月19、20日以来の連勝。3位西武との差こそ詰まらなかったが、野村監督から「今日は藤原デー。これを励みにローテーションを守ってくれれば。他の投手の刺激剤になってほしい」と絶賛された。ウイニングボールは「心配してくれた両親に贈ります」とバッグにしまった。1つの壁を乗り越えたルーキーなら、白星のプレゼントは次々に贈り続けられる。【小松正明】
[2009年8月6日9時13分
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