インフルエンザの次はエース離脱だ。日本ハムのダルビッシュ有投手(23)が22日、コンディション不良のため出場選手登録を抹消された。7月24日の球宴第1戦で右肩に打球が直撃し内出血が残る状態で強行登板してきたことと発熱のためで、大きな故障へつながる前に梨田監督らがストップをかけた。復帰時期は未定。優勝マジック点灯目前だったチームはソフトバンクとの首位攻防戦で逆転負けして4連敗となり、4ゲーム差にまで迫られた。

 シーズン佳境で英断になると信じて、思い切った手を打った。梨田監督がパンク防止のため、エースを8月の戦力構想から外した。プロ入りワーストタイ6失点で5敗目を喫した21日のソフトバンク戦後、宿泊先のホテルで中垣チーフトレーナー同席の下で、梨田監督が通達した。「半ば強制的にね。責任感が強いから、こっちからストップをかけた」。ダルビッシュは、やや抵抗したが最終的には受け入れたという。

 7月24日の球宴第1戦で強烈なライナーを右肩に受けた。幸いにも骨に異常はなかったが、以後4試合に先発しても内出血は完全にはなくならなかった。中垣チーフトレーナーは「出血が固まってくる。硬血(こうけつ)のようなものがあった」と舞台裏を明かした。その影響で試合終盤や登板一夜明けの肩の張りが、通常時以上だったという。

 さらに発熱も追い打ちをかけた。インフルエンザ検査では陰性だったが、ダルビッシュが自身のブログで明かしたように19日に38度以上の高熱が出ていた。梨田監督は「ダルは1日、熱も出ていたしね」と今後の体力的な影響も考慮し、休ませることが先決との意見で首脳陣間で一致した。WBCからシーズンへ突入し、1度もローテーションを外れずに守り続けた「勤続疲労」をとる狙いもあった。最低でも1回は、予定していた登板を回避する。

 ダルビッシュが体調不良や故障などを理由に、出場選手登録を外れるのは06年6月15日の「右肩違和感」以来、3年ぶり。この日、報道陣の問いかけにも首を1度、縦に振るだけだった。この日を含めて3日間はノースローとなる。またインフルエンザ潜伏の可能性を考慮。2軍での感染拡大の恐れを考え、27日まで1軍に帯同、28日から2軍施設の千葉・鎌ケ谷で再調整する予定だ。中垣トレーナーは「(再登録最短の)10日とか2週間とか決めていない」と復帰時期は未定と説明した。チームはインフルエンザ禍で危機的状況を迎えており、エースの離脱で2年ぶりのリーグ制覇は風雲急を告げてきた。

 [2009年8月23日10時2分

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