<楽天4-3日本ハム>◇6日◇Kスタ宮城

 無情のラストシーンだった。日本ハムの連勝が止まった。最終9回2死満塁。代打中村真の打球を、中堅糸井が背走する。やや前進守備、完全に抜けたかと思われたが、トップスピードで追った。クルリと振り向き捕球しようとしたが、お手玉のようになりボールが落ちた。身体能力チームNO・1糸井だからこそ可能だったギリギリの攻防に敗れ、接戦を落とした。

 帰りのバスへ乗り込むと、座席に体を預けて頭を抱え込んだ。近大時代の同級生、チームメートをヒーローにしてしまった。糸井嘉男外野手(28)は「すみません。追いついたら捕らなきゃダメ。もう何も話したくありません」と一身に責任を背負い込んだ。9回2死から建山が2四球と安打で招いたピンチを阻止しようと必死だった。目測を誤ったかのようなプレーで、梨田監督も「打球に何か回転がかかっていたね」とかばった。

 壮絶な結末がクローズアップされるが、敗因は打線。3回までに3得点も4回以降は、野村監督の小刻みな継投の前に沈黙した。走者を置いて2度敬遠されるなど稲葉が徹底マークされて4四球。直後の4番高橋が4打数無安打のブレーキなど、つながりを欠いた。2回を投げた5日も含め今カード3連投の2番手佐竹を攻略できず3イニングのロング救援を許したことで、敵将に先手を打たれ続け、攻撃の芽が摘まれた。

 梨田監督は「(佐竹から)1、2点でもとっておかないといけなかった」と嘆いた。糸井は同点の7回1死二、三塁で中飛でタッチアップを狙った三塁走者の山崎武を刺した。6敗目を喫した建山も早めの継投策の影響でイニングまたぎ、延長突入を見据え、ピンチで降板できない事情もあった。ベテランは「チームに迷惑をかけっぱなしで申し訳ない」と自分を責めたが、残塁10の拙攻の犠牲者だった。今季3度目のサヨナラ負けで、優勝マジックは「23」で一時停止。独走態勢に変わりはないが、今季の仙台最終戦は後味が悪かった。【高山通史】

 [2009年9月7日10時8分

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