ソフトバンクが、フリーエージェント(FA)権を保有している多村仁志外野手(32)を特別扱いせず交渉に臨むことになった。12日、角田雅司球団代表(57)が「(交渉は)クライマックスシリーズ(CS)が終わってからになるだろう。複数年契約?

 基本線は単年だろう。昨年も本人の希望で単年になった」と話したもの。昨オフに球団は複数年契約を打診したが、多村の希望で今季1年契約となった。その背景を踏まえ、今回の交渉では、来季1年契約をベースに交渉が進められることになった。

 FAで目立つ選手優位の交渉とは一線を画すことになる。もちろん、角田代表は「まずは、本人の気持ちを聞くこと。(すべては)話し合いをしてから」とも語り、多村の気持ちをくみ取ることから交渉を始める考えだ。ただ、右肩痛で開幕から出遅れ、93試合の出場に終わったスラッガーの昇給は厳しい。多村の今季年俸は1億円。常時出場もできず、年俸面でのダウン査定でも無理はない。

 角田代表は、多村の能力を認めているからこそ「評価はするが、持っている力からすれば、もっと頑張れる」と話した。多村は11日に国内、海外の球団いずれも自由に交渉できるFA権を取得。「今はCSを勝ち抜くことしか考えていない」と話している。

 今後はCS終了後に交渉の場が持たれる方向。球団は多村がFA宣言しても残留交渉は続けるが、他球団の評価によって、大幅な条件変更はしないと見られる。角田球団代表は「彼は必要な戦力。だが、FAは選手の権利だから、それは尊重する」。多村の決断にすべてが委ねられそうだ。

 [2009年10月13日11時48分

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