ノムラサン、ガンバッテ。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ、楽天-ソフトバンク戦が16日、Kスタ宮城で開幕する。楽天の野村克也監督(74)は2連敗で終わりと持ち前のマイナス思考を見せながらも、今季限りで退任する思いと意地をぶつけると誓った。旧友で、ワールドシリーズ連覇を狙うフィリーズのチャーリー・マニエル監督(65)からは日本語でエールを送られ、チームスローガンにも掲げた「氣」を奮い立たせて頂点を目指す。
気合がみなぎるまでに、時間がかかった。野村監督はグラウンドに姿を見せると、一気に報道陣に囲まれたが、毒とキレの混合したノムラ節が、なかなか出てこなかった。「3戦ある?
2戦(連敗)で終わるやろ」。今季限りでの退任が決まっている状況。「五十余年の疲れがドッと出た。何もする気が起きない。やったって何もないんだから。ふ抜けの心境です」と、決戦前とは思えないほど声が沈んだ。
それでも徐々にCSへの「氣」が高まると「意地もあるからな。クライマックスシリーズじゃなくて、意地シリーズや」と、監督業24年目のプライドがふつふつと沸いてきた。
マイナス思考だからこそ、今の野村監督がある。「ボヤキ」の源は理想と現実のギャップ。常に最悪のケースを考えるからこそ、努力と準備を重ね、選手にも説き続けてきた。敗戦のシナリオを想像してから勝利への糸口を見つけるのが、野村流の兵法だ。「短期決戦は1球が命取り。一番不安なのは、選手に大試合をやったことがない人がほとんどということ。経験の差が出たらいやだな」と、やはり不安要素が先に思いついた。「ほとんどトーナメントに近い。明日なき戦いだよ。3試合じゃ戦略を立てられない」と、初戦から玉砕覚悟で全戦力をつぎ込む構えだ。
活路は自慢の投手陣だ。初戦に先発する岩隈には「エースとして、おれが引っ張っていくという自覚を持ってやってほしい。能力は十分にある」と、試合を預けた。「向こうは杉内。常識的には投手戦。少ない点数を取って逃げ切る形になれば。それが崩れたら敗戦だ」と、小差の勝負は承知の上だ。短期決戦の鬼は「打線は当てにしてないよ。打ってくれたらもうけ物。過去もそうだった」と分析した。
勝っても退任、負けても退任の中で始まるCS第1ステージ。16日の試合前には「選手にひとこと言いたいんだよ。何を言ったらいいかな」と、惜別のあいさつを済ませてから決戦に臨む。ベテラン主砲山崎武も「1つでも多く試合をやるのが、監督への孝行だと思う」と集大成を日本一で飾る意気込みだ。4年前にボヤキで始まった野村楽天。胴上げで終わるための戦いが、ついに幕を開ける。【小松正明】
[2009年10月16日8時3分
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