阪神が、16日に初接触する155キロ左腕、花巻東(岩手)菊池雄星投手(3年)に対し、破格の対応を検討していることが15日、わかった。10月29日のドラフト会議で1位指名する方針は揺るぎなく、くじが当たった場合、真弓明信監督(56)や南球団社長が指名あいさつに訪れる、阪神では異例のプランが浮上した。いよいよ日米20球団と面談する菊池は15日、盛岡市内で「日本で代表する投手になり、いずれは世界の舞台で投げる姿を県民に見せたい」と発言。阪神は担当スカウトらが、メジャーより日本、虎を売り込む。

 菊池のハートを射止めるために、球団VIPが出馬するプランが浮上した。16日から始まる日米20球団による菊池への面談を前にして、球団関係者は「相手のスケジュール次第だが、社長や(真弓)監督が指名あいさつにいってもらうのもいいのではないか」と話した。他球団との競合必至となる155キロ左腕の交渉権を得た場合、菊池への指名あいさつにトップが出向く計画だ。

 指名あいさつは、ドラフトでの交渉権獲得後に行われる。阪神ではこれまで編成部が行ってきた。昨秋もドラフト1位・蕭一傑が在籍した奈良産大を、沼沢球団本部長と黒田編成部長が訪れている。ただ菊池は、国内球団と米大リーグ、2つの選択肢を抱えている事情がある。抽選に当たった場合、球団として獲得への熱意を伝えるためにも、異例の対応を検討している状況だ。

 その菊池とは16日に30分の面談に臨む。阪神は、西武に続いてセ・リーグではトップを切って菊地東日本統括スカウトと担当の中尾スカウトが、菊池と同校野球部の佐々木監督に初めて接触することになる。

 沼沢本部長はこの日、面談でのアピールポイントについて「ウチだけのことじゃなくて、日本球界のために、日本でスタートしてほしい。施設とか、育成方針とか。時間は少ないけれど、目いっぱい方針を伝えたい」と話し、日本と米国の違いを強調する方針だ。

 最速155キロ左腕には、高校生ながらも即戦力の期待がかかる。沼沢本部長は「もし来ていただけるなら、期待は大きい。1軍の主力、先発ローテーションとして頑張ってもらいたい。個人的には体さえできれば、今すぐにでも通用すると思っている」と分析した。

 日米20球団が面談に臨む超高校級の逸材。獲得に成功すれば、新時代のシンボルになることは間違いない。菊池のハートをつかむために、球団VIPの出馬も辞さない構えで総力を結集する。

 [2009年10月16日11時49分

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