<パCS第1ステージ:楽天11-4ソフトバンク>◇第1戦◇16日◇Kスタ宮城

 涙の王手だ。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージが開幕し、楽天がソフトバンクに先勝して第2ステージ(21日~・札幌ドーム)進出に王手をかけた。今季限りで退任する楽天野村克也監督(74)は試合前のミーティングのあいさつで、悔し涙を流しながら1日でも長く戦うことをナインに求めた。監督の涙の出陣に、選手も先発全員安打でCS史上最多タイ11得点を挙げて応えた。楽天は17日の第2戦に勝つか引き分ければ第2ステージに駒を進める。

 

 圧勝だった。先発全員の12安打で2ケタ11得点。野村監督は「まず1勝!」と勇んで会見場に現れた。大技4本塁打に加え、小技も光った。3回には1死一、二塁から二塁鉄平、一塁山崎武のコンビで重盗を決めた。6回には1死三塁で草野に「三振するな。前に転がせばいい」、2死満塁で渡辺直に「(ソフトバンク)藤岡の直球が外に流れている。引っ張るとボールを振る。センター中心に打ちなさい」と、ベンチを出て助言。2人とも、忠実に安打を放ち、ダメ押しの3点を奪ってみせた。

 投手戦の予想を覆す大爆発。野村監督は「打撃コーチの指示がバッチリだったみたいだな。狙い球が予想どおりに来た。スコアラーが陰のヒーローだよ」とナイン、コーチ、スタッフでもぎ取った1勝と、ご満悦だった。

 試合後は笑顔だったが、試合前には涙した。自身の去就を、教え子たちに口にする。無念の思いが、こみ上げてきた。決戦直前。クラブハウスでのミーティングだった。座って聞くナインの前に仁王立ちして、話し出した。

 野村監督

 みんなの力でクライマックスシリーズに出られました。感謝しています。とにかく第1ステージを勝ち抜こう。ここで心を1つにしないと、1つになるチャンスはない。私事で申し訳ないが、解雇通告がありました。解雇される理由はイマイチ分からない。なんで私がクビになるのか分からない。何球団も渡り歩いてきたが、こういうのは初めて。(島田)社長と話して、日本シリーズに行っても続投はないと言われた。みなさんとはこれで最後。みなさんと1日でも長く野球をやりたい。

 「私事」以降は感極まって涙声。「もらい泣きする人もいた」との声もあった。CS進出が決定した3日に男泣きした橋上ヘッドコーチは「涙腺?

 ダメだった」と、この日も涙を抑えられなかったと真っ赤な目で言った。さらにナインへの感謝を口にしたことに「あんなの初めてかも」とヤクルト時代からの弟子は驚いた。試合後の野村監督は「悔し涙だよ。次の監督が素晴らしい監督だったら潔く引くけど、意地ですよ。くそったれシリーズですよ」と毒づいた。

 17日は田中が先発。「すんなり行ってくれればいいんだけど、すべてはマー君に託して、やってくれるでしょう」。毒ガスをまき散らし、まずはパ・リーグ優勝の日本ハムへの挑戦権を得る。【金子航】

 [2009年10月17日8時23分

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