阪神が米大リーグ、マリナーズを電撃退団した城島健司捕手(33)の獲得に乗り出すことになった。マ軍は19日(日本時間20日)、契約を2年残して城島の退団を発表。日本復帰を宣言した同選手に対し、阪神球団が最初に「城島獲得」の意思を表明した。日本最高の捕手へ、球団史上最高額となる4年総額20億円を基本線に、同選手の代名詞「背番号2」や、真弓監督の直接出馬など最大限の誠意を用意。他球団を1歩リードし、早ければクライマックスシリーズ(CS)終了後にも初交渉に臨む。(金額は推定)

 城島獲得へ、真っ先に手を挙げたのは、真弓阪神だった。マリナーズ退団のニュースが20日早朝に飛び込むと、即座に動いた。南球団社長が「捕手という以上に、クリーンアップを打てる右の強打者ということで、是が非でもほしい」と獲得の意思を表明した。すぐに真弓監督とも連絡を取った。午後に行われた定例のオーナー報告会でも坂井オーナーと意見は一致。補強の最優先課題と位置づけた。同オーナーも「日本を代表する捕手。可能性があるなら、来てほしい」と熱烈ラブコールを送った。

 今季は正捕手の矢野が故障で出遅れ、若手の狩野が代役を務めた。捕手は補強ポイントであり、それ以上に右の強打者がノドから手が出るほどほしかった。2つの課題を一気にクリアするのが、城島だ。メジャーで3年21億超という破格の契約を結んでいただけに、容易に獲得できるとは考えていない。球団側は最大の熱意を持って、交渉に臨む方針だ。

 ◆条件面

 坂井オーナーは条件提示について「無尽蔵に出すというわけじゃない。ただそれなりの評価をしなければならない選手だ」と説明。チームの顔である金本の今季年俸は5億5000万円。球団内のバランスを考慮しながら、年俸5億円=4年総額20億円が基本線となる見込みだ。金本がFAで広島から移籍した際は4年12億円。城島には球団史上最高額を提示することになる。さらに代名詞になった「背番号2」は、阪神では新人柴田がつけているが、希望があれば検討する。

 ◆誠意

 球団側はCSや日本シリーズの盛り上がりに配慮する考えだ。早ければ今日21日から始まる第2ステージ終了を待って、初交渉に臨む可能性がある。南球団社長は「直接会って話したい」と自ら熱意を伝える姿勢だ。城島は長崎、真弓監督は福岡生まれ。同じ九州人の指揮官にも直接出馬を依頼するプランもある。「阪神間はいいところ。住みやすいよ。監督も九州出身だし…」。同球団社長は早くも環境面の良さをアピールした。

 退団が発表された当日とあって、日本の他球団から正式に城島獲得を表明したのは阪神だけ。球団を挙げて熱烈なラブコールを送った事実は、城島側にも確実に伝わるはずだ。この日、獲得か否かの結論を保留したソフトバンクなどによる争奪戦に発展しても、阪神が1歩リードしたことには間違いない。

 [2009年10月21日10時15分

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