前マリナーズ城島健司捕手(33)が27日、福岡市内で阪神側と2度目の入団交渉に臨み、阪神入りを正式表明した。交渉には“切り札”として星野仙一SD(62)も同席。「お前のエネルギーが必要だ」という熱烈ラブコールを送られ、古巣ソフトバンクとの争奪戦にピリオドを打った。球団は4年総額20億円(推定)という球団史上最高額や背番号「2」で合意。05年以来遠ざかる覇権奪回へ、真弓タイガースは最高の補強に成功した。

 これも城島なりの演出か。入団の決め手に「誠意」という言葉を何度も繰り返してきたが、他球団を寄せ付けなかった阪神のスピード交渉に「誠意」で応えてみせた。この日、着用していた濃いグレーのスーツには、阪神のユニホーム同様、ストライプ模様の“タテジマ”が何本も走っていた。「阪神の方にお世話になろうと思います。星野さんにも来ていただき、前回同様、どうしても君の力が必要と言っていただいた。米国から自分のわがままで日本へ帰るとなった時、僕を取るのはそんなに簡単じゃなかったと思う中、一番最初に手を挙げて、一番最初に交渉の席を設けてくれた。そこですね」と、テレビカメラ6台など約100人の報道陣を前に晴れ晴れとした表情で話した。

 投手をリードする抜群のカリスマ性だけではなく、主軸として再建をアシストする。「打って守って投げるだけではなく、いろんな意味でチームに安心感を与えたい。それが捕手の仕事。阪神のために十分に力を出し切りたい」と宣言。03年には捕手で史上2人目となる全試合フルイニング出場を達成したこともある「スーパー捕手」は、扇の要となって覇権奪回を支えていく。

 会見では「阪神に行くのは、また新たな挑戦」、「今回の騒動でファンから(ホークスへ)帰って来てくれという声は届いたが、今は阪神で素晴らしい成績を残すことしか頭にない」などおとこ気を見せる一方で、阪神のイメージについて「何で真弓監督が『ジョー』と呼ばれているのか今でも不思議。そこをまず、真弓監督の口から直接聞きたい。ジョーが2人いたら困る。僕、名前を変えなきゃいけないのかな」と笑いを誘った。

 36分に及んだ会見では、悩み抜いた末に出した結論ということもあり、古巣への“決別”ともとれる決意も口にした。「もう後ろを振り向くことはわけにはいかない。野球選手としてこの年齢でも挑戦できるのは、マイナスではない」。日本シリーズ後に正式な入団会見を行う予定。「虎のジョー」が、アメリカから舞台を甲子園に変えて暴れまくる。【石田泰隆】

 [2009年10月28日9時15分

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