<日本シリーズ:日本ハム3-4巨人>◇第1戦◇10月31日◇札幌ドーム

 坂本のV打で日本シリーズが開幕した。セ・リーグ王者の巨人が、パ・リーグ覇者の日本ハムに競り勝ち、02年以来7年ぶりの日本一へ好発進した。1-1の5回2死二、三塁の好機に、坂本勇人内野手(20)が左翼フェンス直撃の勝ち越し2点二塁打を放った。貴重な4点目を生んだ木村拓の偽装スクイズや代打の代打李承■の適時打など原監督の采配も的中した。

 日本一へと続く白星をものにし、坂本はきりっとした顔でベンチ裏から出てきた。手には勝ち越し打を決めた殊勲のバット。すぐに大勢の報道陣に囲まれると、冷静に振り返った。「データでチェンジアップが多いというのは知ってたので、頭にはありました」。

 頭はさえていた。同点の5回2死二、三塁、日本ハム武田勝のチェンジアップをとらえた。「変化球の意識があったので、うまくすくい上げることができました」。見送れば低めのボール球。体は少し泳がされたが、振り切った。左翼フェンス直撃の二塁打。勝利に直結する2点を挙げた。

 伏線は1回の第1打席から。カウント2-1で低めチェンジアップに空振り三振。3回の第2打席は初球チェンジアップを遊ゴロ。二塁打した第3打席は初球のチェンジアップを見逃し、カウント1-1からの3球目。3打席計8球のうち、実に半分の4球がチェンジアップだった。大一番でも冷静な読みがあった。

 入念な準備は頭だけじゃなかった。この日の試合前練習、篠塚打撃コーチとゴルフ談議になった。プロ級の腕前を持つ師に尋ねた。

 坂本

 スライス球しか出ないんです。(飛距離が出るとされる)ドローボールを打つには、どうしたらいいですか?

 篠塚コーチ

 体の左半身が先に開いてしまうからクラブが振り遅れるんだよ。

 バットとクラブの違いはあれど、野球もゴルフもボールを飛ばす原理は同じ。チェンジアップに体を開くとファウルになる。ティー打撃ではボールを上げる篠塚コーチに背を向け、窮屈な形から体を開かず強い打球を打った。フリー打撃では、すり足気味で体を開かず左翼方向へ打つ練習を繰り返した。決勝二塁打は練習通り体を開かず、すり足気味に決めたものだった。

 決戦前に雑談する心の余裕があった。そこでつかんだものを即実践できるセンスもあった。「もっとヒットを打って貢献したい。全員で日本一になれるようにしたい」と宣言した。最高の形でスタートを切った。1日の2戦目はダルビッシュを打つ。【古川真弥】※■は火へんに華

 [2009年11月1日9時25分

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