<日本シリーズ:巨人7-4日本ハム>◇第3戦◇3日◇東京ドーム

 巨人は2点差の2回に李承■内野手(33)、阿部慎之助捕手(30)のアベック弾で同点とし、相手に傾いた流れを引き戻した。阿部の1発は日本シリーズで球団通算200号となった。先発したウィルフィン・オビスポ投手(25)は3発浴びたが、6回を3失点に抑え、日本シリーズで育成枠出身としては初の白星を挙げた。日本ハムは先発の糸数敬作投手(24)が5回5失点KOされ、空中戦で屈した。

 空中戦なら負けない。ソロ2発で先制を許して迎えた2回だった。12球団最多本塁打を誇る巨人打線のプライドに火がついた。口火を切ったのは、6番李承■だ。高めの直球を完ぺきに打ち砕いた。李は「いいタイミングでスイングできた」。レギュラーシーズンでは散々な成績に終わり、ここまでのうっぷんを晴らす一撃は右翼席上段で弾んだ。

 特大弾の余韻が冷めやらぬ中、李の親友である7番阿部が続いた。甘い直球を力むことなく左中間席へ運んだ。「スンちゃんの打球、すごかった。だけど『自分も』とは思わなかった。だから反対方向に打球が飛んだじゃないですかね」。圧巻の2者連続アーチで振り出しに戻したシーンに、原監督は「空中戦において、うちが負けるわけにはいかない」と胸を張った。

 粘る相手にトドメを刺したのも、阿部のバットだった。1点差に迫られた8回。2死満塁の好機で甘い直球に迷わずバットが出た。一、二塁間を抜ける適時打で、勝利を決定的にする2点が入った。「最高のボルテージの中で打席に入れた。鳥肌が立つぐらい気持ち良かった」。普段は本塁打を打っても淡々とダイヤモンドを回る男が、一塁ベース上でチームメートに向かって両腕を突き上げた。

 「チームは『家族』だと思っている」という阿部にとって、親友の李承■、弟分オビスポの力投が励みになった。さらに本当の家族の存在も、発奮材料になった。クライマックスシリーズから東京ドーム近くのホテルで合宿を張り、自宅には戻れない。そんな中、札幌ドームでの2試合に1歳の長女が応援に来た。「娘の遊び相手をするのは大変だったけど、心の疲れはすっかり取れた。今はビンビンの状態です」。愛娘の笑顔を力に変えた。

 主将として、捕手として、打線の中軸としても期待されている。気の休まる暇がなく、試合後はいつもヘトヘトだ。「大舞台を楽しんでるか?」という質問に、「全然、楽しくない。日本ハム打線はしぶといし……」と、わざと怒ったように言ってから、笑顔でこう続けた。「でも、勝ったら楽しいよね」。1年間の苦労が報われる日本一まで、あと2勝となった。【広瀬雷太】■は火へんに華

 [2009年11月4日9時8分

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