<日本シリーズ:巨人3-2日本ハム>◇第5戦◇5日◇東京ドーム

 原巨人が劇的な逆転サヨナラ勝ちで、7年ぶりの日本一に王手をかけた。2勝2敗のタイで迎えた5日の日本シリーズ第5戦。1点を追う9回、先頭の亀井義行外野手(27)が同点ソロ、1死後に阿部慎之助捕手(30)が右中間席にサヨナラソロで接戦に決着をつけた。今季不敗の日本ハムの守護神武田久を撃沈した勢いのまま7日、札幌ドームの第6戦で02年以来の頂点に立つ。

 日本一へ王手をかけるサヨナラ弾は、巨人ファンで埋まる右翼席へ向かってグングンと伸びていった。9回1死。阿部は甘い変化球を無心で振り抜いた。「低い打球だったから届くかどうか分からなかった。でも、途中から打球が伸びていって、確信しました」。耳をつんざく大歓声の中、ベースを1周。ホームベースで待ち構えていた原監督の胸に思い切り飛び込んだ。阿部は「最高です」と決めぜりふを絶叫し、原監督も「まさにサヨナラ慎之助、ですね」と声を上ずらせた。

 ドラマは亀井のひと振りから始まった。9回に1点を勝ち越された裏の攻撃。先頭打者の亀井の心は、沈むどころか、むしろ燃え上がっていた。「決めてやろう。勝負は1球しかない、と思って打席に入った。とにかく初球を思い切り振ろうと」。高めの直球を思い切りひっぱたき、右翼席上段へ起死回生の同点ソロをたたき込んだ。ヒーロー2人はともに中大出身。阿部が「カメが後輩で良かった」と持ち上げれば、亀井も「中央大学バンザイです」と笑みを浮かべた。

 試合開始の約4時間前、ワールドシリーズの松井の活躍が刺激になった。ヤンキースが世界一を決めた直後、早出特打を行った亀井に、村田打撃コーチからこんなゲキが飛んだ。「松井になったつもりで打て!」。第4戦まで打率2割。ミーティングでも名指しで怒られていた亀井は発奮した。松井が乗り移ったかのような、柵越えを連発し、気持ちよく試合に臨んだ。

 阿部もまた、松井の晴れ姿を見て気合を入れ直していた。大リーグ移籍後、オフに食事に誘ってもらった席で、松井にかけられた言葉を思い出した。「おれがいなくなった後は、慎之助が巨人を引っ張っていくんだぞ!」。ワールドシリーズMVPの先輩に負けじと、日本シリーズMVPの最有力候補に躍り出た。

 前回の日本一は02年。ゴジラが去ると同時に頂点から遠ざかった巨人に、いよいよ「奪回」の時が訪れた。4万5000人のファンの前で、原監督は「必ず北海道で『奪回』してみせます」と宣言。阿部も「札幌で絶対に日本一を決めて帰ってきます」と約束した。7年分の思いを、北の大地でぶつけてくる。【広瀬雷太】

 [2009年11月6日9時7分

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