<日本シリーズ:巨人3-2日本ハム>◇第5戦◇5日◇東京ドーム

 日本ハムの3番手、林がコールされると、巨人大道典嘉内野手(40)はピクリと顔を動かした。1点を追う8回1死二塁、左腕の登場に代打職人はベンチからノソリと歩み出た。「追い付けばサヨナラがある」。終盤で迎えた同点の好機に激しく素振りを繰り返し、打席に向かった。

 好機は、二塁走者の鈴木尚広外野手(31)がつくった。8回先頭で死球の李承■の代走で送られた。次打者坂本の初球、果敢にスタートを切り二塁到達。「監督が際どいところでサインを出してくれた。初球で行くしかなかった」。坂本は空振り三振も、快足で得点圏に進んだ。

 巨人に傾いた流れは加速した。大道のカウント1-0で、林が二塁けん制悪送球。鈴木が三塁に進み、大道が粘った。「三振は避けないといけない場面。99・8%、フォークを頭に入れ、0・2%は直球を待った」。カウント1-2から3球連続ファウル。内角攻めをしのいだ。7球目“確率0・2%”の高め直球をたたいた。ジャンプする二塁田中のグラブの上を越える右前適時打。走りながら、5回も6回も右こぶしを握った。一塁到達後も自軍ベンチへガッツポーズ。興奮のあまりベースから足が離れ、一塁の吉村コーチが慌てて指示したほどだった。

 勝負どころで代走&代打のスペシャリストをつぎ込んだ原監督。その指揮に2人が妙技で応えた。鈴木は「プレッシャーはなかった。僕はそのためにいる」と胸を張った。日本シリーズ開幕直前に40歳を迎えた大道は「22年、やってるけど一番緊張した。(競馬の)天皇賞でも8歳のカンパニーが勝ったでしょ」とおどけた。職人技で日本一に王手をかけた。【古川真弥】※■は火へんに華

 [2009年11月6日8時24分

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