プロ野球広島に6位指名された静岡高出身の王子製紙・川口盛外投手(24)が5日、愛知県春日井市の同社春日井工場で、松本有史スカウト(32)らから指名あいさつを受けた。「左の中継ぎが人手不足。補ってほしい」と期待されて「プロの世界に挑戦させていただける権利をくれた球団。光栄です」と喜びを表した。

 苦労人の花が開いた。静高3年時に夏の甲子園(16強)に出場したが、左肩痛のために登板は1試合。しかも、打者3人に8球を投げただけで終わった。肩痛で硬式のセレクションも受けられず「最初はもう野球ができないかと思った」。だが、入部した早大準硬式で「もう1度」と再燃した。肩痛を癒やして大学で通算34勝、個人タイトルも11度獲得し、日本一にも輝いた。その活躍に、広島も目を付けていたという。

 卒業時に1度は広島育成枠の話もあった。だが「イの一番に内定をいただいたのが王子製紙だったから」と、恩義を感じてプロ入りを蹴った。そして2年後、見事ドラフト指名を受けた。この日は日常の機械メンテナンスの仕事途中だったため、油が染みた作業着姿で現れた。「汚くてすみません。(王子製紙への)恩返しは自分の体でしないといけないので」。「義」を大切にする男は恐縮しながら、迫ったプロの世界を楽しみにした。【今村健人】

 [2009年11月6日12時49分

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