海外移籍が可能なフリーエージェント(FA)権を取得している巨人高橋尚成投手(34)が、権利を行使することが16日、分かった。17日に清武球団代表と会談を行い、自身の意向を伝える。「ジャイアンツが好き」と話すように、国内他球団へ移籍する可能性は低く、夢とするメジャー挑戦を視野に入れ、交渉を続けることになりそうだ。

 巨人の生え抜き最年長投手の高橋尚が、大きな決断を下す時が来た。7月29日に出場選手登録9年を満たし、海外移籍が可能となるFA権を取得。日本シリーズ終了後に、清武球団代表と交渉を重ねてきた。球団の評価に感謝を示す一方で、夢と語るメジャー移籍に心は揺れ、最終的にFA宣言する気持ちを固めたようだ。この日、宣言する意向を明言こそしなかったが「心は決まっている」と話した。

 巨人への愛着は強く、国内他球団へ移籍する可能性は極めて低い。この日も「一つ言えるのはジャイアンツが好きということ」とチーム愛を強調。移籍を選択する場合は、メジャー移籍する可能性が高い。今春、同い年でともにチームを支えてきた上原が海を渡った。仲間の活躍をテレビで観戦。「ウエ(上原)、すごく野球を楽しそうにやってるよね」と刺激を受けていた。今年のワールドシリーズでは元チームメートのヤンキース松井がMVPを獲得。あこがれの舞台で躍動する先輩の姿に胸を熱くした。

 清武球団代表は日韓クラブチャンピオンシップ終了後に「慰留したい選手であることに変わりない。引き続き交渉を続けていきます」と発言。来季以降も必要な戦力として粘り強く引き留め交渉を続けてきたが、この日までに残留を決意させるまでには至らなかったようだ。

 慎重に協議を重ねてきた末の表明だ。清武球団代表とは電話を含め、4度話し合いの場を持った。「代表と意見を交わしていくなかで、自分の中で納得した部分もある」と球団の評価に不満はない。「巨人に残るのが大前提」という気持ちに偽りはないが、メジャーへのあこがれも捨てきれないでいる。

 17日に清武球団代表と最終交渉。その場で、FA宣言する旨を伝える。巨人や他球団への影響を考慮し、この日も「あさはかな言葉で勘違いされると、ジャイアンツに迷惑だし、高橋尚成を応援してくれるファンにも迷惑になる。明日きっちり、ちゃんとした形でみなさんに発表します。とりあえず、それしか言えない」と慎重に言葉を選んだ。

 巨人からFA宣言して移籍すれば、史上5人目。それがメジャーなら3人目となる。黄金期を支えてきた左腕が、自らの夢に向かって大きな1歩を踏み出すことになるのか。

 [2009年11月17日6時41分

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