下克上バトル、大歓迎!

 阪神新井貴浩内野手(32)が17日、真弓監督の掲げた若手選手とのポジション争いを、真正面から受けて立つ構えを見せた。16日、真弓監督が秋季キャンプ総括で若手の野原将、上本の名前を挙げ、来春キャンプで主力とポジションを争わせることを明言。それを受け「いいことやないっすか。この世界、ベテランとか中堅とか若手とかいうのはない。野原(将)も思い切ってぶつかってきてくれればいい」とガチンコ勝負を歓迎した。

 新井自身も競争を勝ち抜き、しっかりと成績を残すことで現在の地位を築き上げた。大学時代は公式戦通算2本塁打。ドラフトも6位と下位指名での広島入団となったが、プロ2年目には早くも16本塁打を記録。入団7年目の05年には43本塁打を放ち、自身初の本塁打王にも輝いた。「この世界は1年1年の積み重ねだからね」。いつかは乗り越えなければならない「先輩」という名の壁。かつて自身もたどった勝負の道を、今度は受け身の立場として勝負する覚悟だ。

 もちろん、そのための準備に抜かりはない。シーズン直後にはオフの自主トレ拠点としている広島市内のトレーニング施設を訪れ、筋力アップに努めた。それ以外でも徹底して体をいじめ抜いており、この日も甲子園クラブハウスを訪れ「今日は上半身のウエートです」と、顔を紅潮させて半袖姿のまま帰りの車に乗り込んだ。

 かつての阪神は赤星と浜中など、実力が拮抗(きっこう)した者同士の競争があったが、ここ数年はそれもほとんどなく、先発メンバーもほぼ同じような顔触れ。それが来季は一掃されるかもしれない。真弓監督の発した“メッセージ”に乗せられるように、新井も真剣勝負を楽しみにしているようだった。

 [2009年11月18日11時7分

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