広島大竹寛投手(26)が4日、大阪市内のミズノ大阪本社で行われたアドバイザリープロスタッフ会議で西武工藤公康投手(46)から“8割投法”を伝授された。好投したときの感触を翌日以降も維持するために、余力を残して登板を終えるという内容。そのアドバイスに感激した大竹は、来春のキャンプでその教えを実践することを決意。さらなる進化を目指す。

 大竹が上気した表情で言った。「すごいためになりました」。興奮を抑えきれなかったのは、現役26年の経験、そして通算224勝の実績を持つ工藤から受けた金言のためだった。

 工藤

 投げてよかったときの感覚を覚えておくこと。なんで今、自分は調子がいいのか、投げていい感触があったら、その日で使い切らずに次の日も維持する。8割くらいの力で続けることだ。

 つまり2割ほどの余力を残しておけば、好調を維持しやすいという工藤の体験談だった。力投型の大竹にとって工藤の考えは斬新だった。「今の僕にはタイムリーな話でした」と感激した。

 工藤と大竹は、もともとはあいさつ程度の面識しかなかった。しかし、この日初めて踏み込んだ野球の話をして、貴重なアドバイスをゲットした。大竹が「僕は(試合の)立ち上がりがよくないんです」と相談すると、工藤も「得意じゃない」と話したという。

 工藤

 でも、立ち上がりがいいときもある。そのときになんでいいのか?

 と。技術なのか、食事なのか、それとも生活習慣がよかったのかもしれないじゃないか。

 「雲の上の人」とあこがれる存在からの助言に「目に力があるんですよ。本当に今日は来てよかった」とすっかり心酔。工藤は「アドバイス?

 それは僕から言うことじゃない」と言葉を濁したが、大竹の実力については「そりゃ彼はスゴイものを持っていますよ」と認めた。

 大竹は、大阪入りした前夜、なんばグランド花月で吉本の舞台を鑑賞し、先輩嶋の紹介で知り合った吉本新喜劇の中條健一(44)と一緒に食事した。そこでも「ツッコミを覚えろ」という珍アドバイス?

 をもらっていた。まさに収穫いっぱいの大阪遠征だった。

 工藤の教えを実践すべく、来春のキャンプでは投げ込み時に調子が良いからと投げすぎないように心掛けるという。「いい感覚を大事に残したまま、次の日につなげていきたい」。20歳年上の“教科書”を参考に、来季は目標の2年連続2ケタ勝利&200投球回を目指す。【高垣

 誠】

 [2009年12月5日11時0分

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