年男が最後に笑う。寅(とら)年生まれのソフトバンク秋山幸二監督(47)が、指揮官初優勝に向けて秘策を明らかにした。就任2年目の10年シーズンは攻撃布陣を固定せず、球場や相手投手によってオーダーを大幅に組み替えるプランを提案。大胆起用でホークス7年ぶりとなる美酒をもたらす決意を語った。

 寅年に命を授かった秋山監督が、今季目指す野球スタイルを垣間見せた。

 秋山監督

 いろいろなオーダーを組みたいんだ。1つにこだわるのではなく、幅を持ってね。多くのシフトを持っておきたい。

 多くのシフトとは…。指揮官2年目に突入した秋山監督は続けた。「松田も外野を守れた方がいいと思う。その方が(試合に)出られる可能性が高くなるだろうし」。今春から松田の外野挑戦を本格的にスタートさせる裏には、多彩オーダー制を導入させる狙いがある。

 例えば、オーティズの外野守備には屋外球場に弱いという難点がある。オーティズは三塁に重点を置きながら、ドーム球場では左翼守備を基本線とする。松田は右翼挑戦とサードの兼務になる。小久保が一塁とDHならば、松中はレフトとDHが視野に入る。新入団の李■浩は一塁、三塁、DHを渡り歩く。選択肢を増やす利点は、相手投手や球場によってオーダーを変えられる利点があるのだ。

 09年松田は楽天戦で打率1割7分2厘。対照的に多村は同4割5厘、明石も同3割4分5厘。このケースでは松田に苦手カードとなる楽天戦で休養をとらせ、多村や明石の起用を優先する案も準備できるというわけだ。

 もちろん、基本的にはオープン戦でレギュラーを固める方針。それでも、秋山監督は固定観念を捨て去るつもりだ。「選手の能力は競い合って、上がっていくもの。この世界は昔の名前で出られるものじゃない。若い選手が入れば、はじき飛ばされる」。4番打者も松中、小久保、李が候補に挙がるが「(1人に)限ることはない」と言い切った。

 自らの采配が勝敗を分ける分岐点になる。だからこそ、自身の10年テーマは「入魂」。「もっと、もっと、気持ちを入れてやらないとな」。ロッテ西村監督、楽天ブラウン監督、オリックス岡田監督と3球団の指揮官が替わったパ・リーグ。「戦略的なことも変わってくるだろう」と他球団への警戒も解かない。4月に48歳を迎える年男。「一番最後に笑えるシーズンにしたいね」。笑顔でゴールを切るための覚悟はできている。※■は木ヘンに凡

 [2010年1月1日11時26分

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