トラ最速で1000安打到達へ!

 阪神鳥谷敬内野手(28)が7日、沖縄県名護市内の沖縄高専グラウンドで、6年連続となるロッテ井口資仁内野手(35)らとの合同自主トレを公開。残り169本となった通算1000安打の今季達成に意欲を示した。7年目での到達となれば、07年赤星と並んで球団最速記録だ。昨季は新3番として開幕を迎えながら、シーズン途中に8番降格も経験。3番を守り抜く覚悟の今季は自身初の3割、1000安打を達成し、トラを日本一に導く。

 沖縄の青い空に見守られ、鳥谷の体にはもうキレ味が戻っていた。走って守って打って…。終始絶えないさわやかな笑顔が、南国の湿った空気を吹き飛ばす。6年連続となる「井口教室」。“トラ最速男”就任に向け、新選手会長は着々と準備を進めていた。

 鳥谷

 本数を意識してもしょうがない。数字にこだわらず、場面場面で自分の仕事をして、最終的にそれを達成できればいい。

 謙虚に照準を定めたのは、残り169本に迫った通算1000安打だった。今季7年目での到達となれば、07年赤星に並んで球団最速記録だ。「それだけ活躍できれば良いけど、1本1本積み重ねて数になる。1試合1球に集中していけば」。最速記録は十分に射程圏内にある。

 シーズン自己最多は05年の159安打。今季中の1000本到達には自己記録更新の必要があるが、手ごたえはある。昨季は後半戦62試合で打率3割3分3厘。故障の影響もあり、不振に苦しんだ前半戦も同じペースでヒットを量産していれば、136試合目に169安打を記録していた計算だ。好調の秘訣(ひけつ)はリラックス。「力んで失敗が多かったんで、そこらへんを意識した」。どん底でつかんだヒントが、今年も助けになるはずだ。

 09年は打率2割8分8厘、20本塁打を記録。ただ、例年目標に掲げ続けている3割には、またも届かなかった。「どんな場面で打つかが重要。3割打てたら1番良いけど、大事なところで1本打ってチームの勝利に貢献したい」。心に刻まれた悔しさ、反省を糧に、中身のある初3割を狙う。昨季は真弓阪神の目玉、新3番としてシーズンを開幕。前半戦は結果を出せず、チャンスで代打を送られ、8番降格という憂き目も味わった。

 鳥谷

 昨年は打順がいろいろ変わって、悔しい思いをした。1年間同じ打順を最後まで守り抜くことが、チームにとっても自分にとってもいい。クリーンアップがしっかりすれば、組み合わせもうまくいく。クリーンアップが変わると(チームとして)厳しい。

 もちろん、自己記録はすべて、チームを頂点に導くためのプロセスに過ぎない。「優勝が目標。赤星さんも辞めた時におっしゃっていたけど(05年日本シリーズでの)ロッテ戦の4連敗(の記憶)を残したまま終わっている。それを忘れさせるためにも優勝して、日本シリーズに出て日本一になりたい」。新選手会長は、秋に美酒を味わいたいだけだ。

 [2010年1月8日11時31分

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