甘えてこい!

 西武に復帰した工藤公康投手(46)が心の窓をオープンにして、ドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)を待つ。10日、千葉で行う自主トレを公開した。練習拠点の館山市から依頼を受け、地元の成人式にサプライズゲストで登場。「20歳で責任感とかいわれるけど、なんでも1人でやらなきゃということはない。どんどん大人に甘えてほしい。いろいろチャレンジして、失敗して、学ぶこともたくさんある」とあいさつした。

 練習の合間で、黒のトレーニングウエアにベンチコート姿。晴れの日にはおよそ似つかわしくない格好でも、飾らない言葉は新成人の胸に響いた。お祝いの言葉は、同年代の菊池に投げかけたメッセージでもあった。「今年入ったルーキーには息子(18)と同じ年もいます。頼ってもらう方もうれしいもの。(菊池に)聞きたいこと、分からないことがあったらどんどん聞いてもらって構いません。ウエルカムです」と“甘え”を歓迎した。

 この日は帯同した若手トレーナー2人に、練習と並行して熱血指導した。新たな人材を育成することも、工藤の大事なテーマ。左から最速155キロを繰り出すルーキーとの対面を楽しみにしている。朝も新聞で動向をチェックし「トレーニングはかなり積んできてるなと。キャンプでは、勝てることはないと思うけど、離されないようについていきたい」と笑った。

 入寮の際に本を60冊も持ってきた菊池の勉強家の一面には素直に驚いた。「自分の新人の時とは比べられないぐらいしっかりしてる」。82年に入団した当時の西武は今と比較できないほど上下関係が厳しかったが、28年が経過した。繰り返すつもりはない。【柴田猛夫】

 [2010年1月11日8時15分

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