サード獲得失敗なら帰国!?

 ソフトバンク新外国人でWBC韓国代表の李■浩(イ・ボムホ)内野手(28=ハンファ)が15日、日本での自主トレに向けて福岡空港着の航空機で再来日した。打順はどこでもOKの姿勢だが、守備に関してはWBCと前所属ハンファでも守った三塁を強烈に主張。定位置を確保できなければ“退団”も辞さない不退転の決意だ。旧知の通訳に婚約者も同伴しての来日で、新天地でのサポート体制は完ぺきだ。

 日本と韓国、1日に2度開いた会見で李は不退転の決意表明をした。「一塁を守るようになれば韓国に戻ります」。ソウルの仁川空港で母国メディアにこう別れを告げると、舞い降りた福岡空港でも言い放った。「チームが優勝するために頑張る。自分は三塁を守ってきた。三塁でうまくいかないと成績が上がらない。打撃以上に守りに自信がある」。一、三塁という首脳陣の両構え構想に対して、サード1本勝負と主張。ダメなら帰国という過激発言に新天地にかける思いが詰まった。

 打順は「監督がやること」とチーム戦術に従うが、ハンファ、韓国代表と同じようにホットコーナーは譲らない。準優勝した昨年のWBCでは三塁手のベストナインにも選出。自信がある。昨年リーグ戦での打率2割8分4厘、25本塁打の成績も、守備からリズムをつかむスタイルのたまもの。「マスコミを通じて松田の成績は知っている。昨年はけがでうまくいかなかったようだが、自分としてはライバルと思っている」。早くも定位置を争う松田をけん制した。

 準備は万端だ。2月1日キャンプインの2週間前に来日した理由は「チームに適応したいから」。韓国での自主トレを打ち上げ、20日前後にはキャンプ地の宮崎で2次自主トレに突入する。現地調整中の川崎と合流する予定。李は「川崎さんとうまくやらないと。自分の守備範囲が広くなれば川崎さんも助かるだろうし」と、三遊間コンビを組んで考え方やプレースタイルを把握するつもりだ。

 インターネットなどでチームメートの名前を覚えており、早期適応への意識は高い。さらにキャンプでの“飲みニケーション”にも「名前は知っているので、自分から先に声をかけていきたい」と意欲的だ。入団会見のため来日した昨年11月には中学時代からあこがれていた小久保とのランチを球団側に調整してもらい、実現させた。新しい仲間の性格や野球観を1日でも早く知るため、新参者の自分から食事会を開く。

 同じハンファからロッテ入りした金泰均(キム・テギュン)はサングラスに両耳ピアスとド派手な来日。“番長スタイル”と騒がれたのに対し、李はグレーのジャケットに黒いパンツ、穏やかな口調で見た目は“優等生”を印象づけた。だがその胸の内にはサード1本勝負という強い決意がたぎっていた。※■=木へんに凡

 [2010年1月16日10時54分

 紙面から]ソーシャルブックマーク