【ギルバート(米アリゾナ州)18日(日本時間19日)=四竈衛】ソフトバンク小久保裕紀内野手(38)が同地での自主トレを公開し、ロングティーでの「初打ち」を披露した。挑戦中のエンゼルス松井秀喜外野手(35)をイメージしたゴジラ打法について、順調な手応えを示すとともに、2ストライクに追い込まれた後には従来型を使う「両刀打法」の可能性も示唆した。専属シェフを帯同し、狙い通り4キロの増量にも成功したことを明かすなど、5年ぶり30本塁打に向けて調整は順調そのものだ。

 スピンの効いた高い放物線が、次々に約100メートルのフェンスを越えていった。過去2週間は「バットを振るのを我慢」し、この日のロングティーで2010年の打ち初め。「初打ち」を終えた小久保は、納得のいく表情で今季の抱負を口にした。「ここまでは順調です。やっぱり本塁打は捨てられない。最低でも30本は打ちたいですね」。プロ17年目を迎える主砲は、スラッガーとしての原点に戻って、本塁打にこだわる考えをあらためて示した。

 昨季は、144試合にフル出場しながら18本塁打。本塁打増へ、ヒントにしたのが、エンゼルス松井の打撃。ミートポイントをこれまでよりボール2個分ほど投手方向へずらし「前でさばく」打法へ挑むことを表明している。始動を早め、フォロースルーを大きく取ることで飛距離は伸びるものの、確実性を失うリスクもあるだけに、勇気の必要な決断だった。

 ただ昨年つかんだしぶとい打撃も完全に捨てるわけではない。「(新打法挑戦は)リスクも伴うし、ジレンマもあります。ただ、2ストライクの前後で使い分けができると思います」。追い込まれるまでの長打狙いと、2ストライク後ではつなぎに徹するアプローチを変える「両刀打法」も念頭にある。豊富な経験値が自信の裏付けだ。

 今回の合同自主トレには、日本から専属のシェフも同行。栄養面でのサポート体制も整えた。現在の体重もベストから4キロ増の94キロに成功。「セーブせずに、食べたいだけ食べるようにしてます。しっかり動いて体重が増えるのはいいことですから」。キャンプで自然に減量することから逆算。筋力アップを優先した結果、本来の長距離砲としての体が戻ってきた。

 今季は4年契約の最終年となる。「この世界は競争。数字を残さないと生き残れない。チームから離れることなく引っ張っていけるようにしたいですね」と話した。アリゾナの青空の下、大ベテランがあらためて野球人生をかけた「大勝負」を誓った。

 [2010年1月20日11時49分

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