ソフトバンク田上秀則捕手(29)が23日、「金メダルトレ」の導入を明かした。西戸崎室内練習場で体を動かした田上は、母校の九共大で床運動やつり輪、トランポリンを練習メニューに組み込んだことを披露した。九共大は、04年アテネ五輪で当時唯一の大学生メンバーとして体操団体優勝に貢献した中野大輔氏の出身校でもある。正捕手定着に異色トレを敢行し、さらなる飛躍へプレシーズン全試合出場も宣言した。
母校で、田上が軽やかに舞っている。
田上
後転はさすがに無理ですね。でも、前回りはできましたよ。いったのは2回目だったのですが、やってみていいですかとお願いしてやってみました。できたんですよ。
空中でクルリと1回転。トランポリン練習の成果だ。さらに、取り入れているのは、床運動につり輪。特につり輪は「体を上げただけで、腕がプルプルしますね。筋力がめちゃくちゃ要ります」。昨年末には地元福岡のテレビ収録で俳優デビュー?
した田上だが、そのぽっちゃりとした体からは想像できない珍トレーニングを重ねているのだ。決して遊びではない。3種目すべてに、明確な意図がある。
(1)トランポリン
「一瞬でパワーを爆発させる体の動きを学びたかった」と田上。打撃時の右足の蹴り、スローイング時の腰の回転…。野球に結びつく体の動きがあるという。
(2)床運動
股(こ)関節の柔軟性を養うために導入。今季138試合出場した田上だが、股関節の柔らかさはエネルギー伝達をスムーズにするだけでなく、故障予防にも一役買いそうだ。
(3)つり輪
鍛えているのは、上腕三頭筋。送球時に使う筋力で、課題のスローイング力アップに目を向けている。
田上は現在、ホークスの西戸崎室内練習場とともに、九共大の体操競技部へ臨時参加している。九共大といえば04年アテネ五輪で唯一の大学生として注目された中野大輔が在籍していた。男子体操では団体金メダルに貢献。田上は「先生の堀内さん(九共大スポーツ学部長、同大体操競技部部長)にお願いしました」と金メダルトレに至った経緯を説明した。
体も出来上がりつつある。体重はオフのピーク時だった89キロから84キロまで減った。肩も仕上げの段階で、大学では打撃練習も行っている。もちろん、心構えも正捕手をつかんだ昨年以上。チームは2月中旬から対外試合に入り、オープン戦は14試合ある。「全部出るつもり。他の選手を出させないですよ。自分自身、もっとレベルアップしないといけない」(田上)。プレシーズン全試合出場を宣言。栄光への架け橋の金メダル…いやシーズン優勝しか、見えていない。
[2010年1月24日11時41分
紙面から]ソーシャルブックマーク