ソフトバンクがホークスOBを「営業マン」に起用していることが25日、分かった。過去に在籍し、現役を引退した元鷹戦士やコーチに年間シートや広告スポンサーの獲得で協力を仰ぐ、新たな営業活動を展開している。現役時代から築いた独自の人脈を紹介してもらい、契約成立なら紹介料を支給する本格的な要請。不景気で広告看板の出し控えもある中、新規企業の掘り起こしに珍しい“発令通知”を出した。

 これがソフトバンクの総力戦だ。2番底が訪れるという見方もある厳しい経済不況。営業部隊は現場OBを交えて乗り越えるアイデアを打ち出した。

 球団首脳は「こんな時代だから今いる営業の人材では確保できない部分で協力していただきたい。OBの方々は選手時代から熱心な支援者がいらっしゃる。企業に顔が利く方も多い。その部分で力を貸してほしい」と語る。この不況で支援企業から広告の出し控えもある。既存の営業活動で手の届かない分野を切り開くのに新たな人脈が不可欠で、現場OBの“顔”にすがった。

 第1回の「OB営業マン」就任要請は昨年末に行われた。野球の普及活動を展開する「ホークスジュニアアカデミー」にOBコーチ陣(23人)として協力しているメンバーを中心に説明会への参加を呼びかけ、“発令通知”とも言える協力要請を行った。福岡ヤフードームの年間シートや看板広告の料金や詳細を記した営業資料も手渡された。

 なんと、契約成立時には最大20%(推定)の紹介料がインセンティブとして支給されるという。もし、1枚8000万円で最高額とされるホークスビジョン横にある看板の契約がまとまれば、1600万円…。福岡県外の企業にも人脈を持つあるOBは「それだけ球団も必死だと分かった。自分のできる範囲で知り合いを紹介できれば」と、球団への協力に前向きだった。

 昨年は年間シートと広告スポンサーで約70億円の収入があった。球団は今年も同規模を確保したい考えだ。今季は広告の付加価値を高めるためドームに新型ビジョン2基を設置する。あとは支援者、団体の固くなった財布のひもをいかに緩めてもらえるか。ホークスを支えた選手たちがユニホームからスーツに着替えて、その一助を担う。球界でも異例の取り組みに必死さがうかがえるが、まずは福岡移転後から球団と関係の深い人材から営業部隊の輪を広げていく。

 [2010年1月26日12時20分

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