いざ、復活!

 広島前田智徳外野手(38)が30日、広島・廿日市市内の大野練習場で自主トレを打ち上げた。ゴロ捕球を行うなど、2年ぶりの1軍復帰に向けて、体を仕上げてきた。昨季は下半身への不安を抱え、プロ入り初めて実戦出場なし。2年連続の1軍キャンプに向け、31日に空路で沖縄入りする。ベテランの巻き返しが、いよいよ始まる。

 いよいよ勝負の1年が始まる。沖縄入りを翌日に控えた30日の昼下がり。誰もいなくなった大野屋内総合練習場に前田智の声が響き渡った。パートナーとキャッチボールを行い、ノックも受けた。球をそらすと「いまのはグラブが悪いな!」などとジョークを飛ばし、笑顔を見せた。締めは鋭いスイングでのティー打撃だ。問いかけには「全然(調整は)順調じゃないよ」と慎重な受け答えだったが、グラウンドで見せた明るい表情が好材料だ。

 プロ21年目を迎え、今年6月14日には39歳になる。過去に両足アキレスけんを手術するなど絶えず下半身に不安を抱え、昨季はプロで初めて1、2軍通じて実戦に出場できなかった。昨年12月の契約交渉時には「調子が良くなれば良くなるほど無理が出る。そのたびにケガを再発させてしまうという繰り返し」と振り返ったこともある。今季は野球人生の岐路に立つシーズンになるのは間違いない。

 それでも、野村カープにとって欠かせない戦力だ。通算2071安打の経験、卓越した打撃技術は他球団にとって脅威となる。野村監督も「(体調は)100%じゃないかもしれないが、自分のペースでいいから沖縄に行ってやってもらいたい」と説明。チーム一丸で優勝を狙うためにも、ベテランが顔をそろえる意味は大きい。

 昨年は11年ぶりの沖縄キャンプスタート。しかし、オーバーペースがたたり、故障の原因となった。今年も本隊と別メニューを組むことで、同じ轍(てつ)は踏まない。オフも大野練習場などで地道にトレーニングを重ね、肉体強化と故障防止に努めた。すべては現役時代、ともに戦った野村監督を胴上げするためだ。

 これまでも「(現役時代は)厳しい選手だったが、監督になっても、キャンプは厳しくなる。それに対応して、みんなで頑張っていきたい。代打でチームに貢献できるよう頑張りたい」と抱負を語ってきた。カープで絶大な人気を誇る男が、復活ロードの第1歩を踏み出した。

 [2010年1月31日12時32分

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