ぶっきらぼうな口調には、怒りの感情がこもっていた。阪神下柳剛投手(41)が1月31日に沖縄・恩納村のチーム宿舎で、野球協約減額制限いっぱい(40%)となる7200万円ダウンの1億800万円でサイン。自費キャンプこそ回避したが、8勝を挙げながらの厳しい査定に不満を隠さなかった。晴れ間がのぞく空を見つめながら「今の沖縄の天気じゃないのは確かです…。納得いかない思い?

 そらあるよ。当たり前だ」と吐き捨てるように言った。

 長年、チームのローテーションを守ってきた自負がある。しかし、今季の軸として名前が挙がるのは、安藤、岩田、能見の3人だけ。上園やルーキーの二神一人(22=法大)藤原正典(22=立命大)らと残された枠を争う立場にある。ただ年齢を理由にしただけの世代交代を許す考えは毛頭ない。「負けるつもりなら、契約していない。そのポジションを譲るつもりもありません」という言葉には、球団を見返す気持ちもまじっている。

 昨年は手術経験のある右ひざの状態が万全ではなかった。しかし、それも過去の話とした。「去年とは比較にならないくらい、いい状態。選手みんなで団結して優勝したい」。恒例の奄美大島の自主トレでは下半身を鍛え抜いた。怒りの感情をエネルギーに変える。【田口真一郎】

 [2010年2月1日8時47分

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