西武のドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)が不満顔だった。宮崎・南郷キャンプで、初日から2日連続のブルペン入り。昨季、捕手でチーム最多出場の銀仁朗を相手に、座らせて78球を投げた。エンジンのかかりが遅く、制球もばらつきが目立ったことから、渡辺監督から調整法について“初指導”を受けた。会見では珍しく不機嫌そうな表情も浮かべたが、課題を乗り越えてプロの投手へと成長していく。

 今まで見たことがない雄星がいた。練習後の囲み取材の雰囲気が、いつもと少し違った。前日1日に続いて、ブルペンでの投球練習中に帽子を替えたことについて聞かれても「いろいろ試しながらやっているので」とぶっきらぼうに言った。質問にはっきりと答えても、どこかイライラ。いつもはサービス精神旺盛な18歳が、明らかに不機嫌そうだった。

 その兆候は2日連続で入ったブルペンでも表れた。打席に立って投球を見た潮崎投手コーチは「ボールがいかないことに納得いかないようだった。序盤の球はペロペロだった」と表現するほど、勢いがなかった。初めて受けてもらう銀仁朗を座らせても、なかなかエンジンがかからない。56球を投げたところで、小さいサイズの帽子に替えてから、ようやく球威が大幅にアップした。

 首脳陣は、調整法に問題があると分析した。他の投手と同じ練習メニュー通りでは、十分なキャッチボールができないままブルペンに入り、肩を温める状態が続いて球数ばかり増えると判断。投球後、緊急面談した潮崎コーチは「次から40メートルの距離をしっかり投げてから、ブルペンに入ろうということになった」と軌道修正した。渡辺監督も「準備する時間はたっぷりある。本人もそっちがいいと言っていたしね」と話した。

 気持ちにムラは出たが、やるべきことはやる。初めてセットポジションを試し、クイックで7球投げ「現状把握です。今やらずに紅白戦とかでヤバイとなるのはイヤなので」と先を見据えた。投内連係では、小刻みすぎるステップを涌井らに笑われても、軽快なスローイングも披露した。「肩ひじは張ってるけど、投球は昨日よりだいぶまとまってたと思います」と雄星。連投の疲れもあり、全78球を振り返る表情に充実感はなかったが、自分だけの調整法を見つけ、プロの壁を乗り越えていく。【亀山泰宏】

 [2010年2月3日8時28分

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