日本ハムが、また想定外のパニックに見舞われた。沖縄・名護キャンプの3日、球団の公式カメラマンを務める50代男性が結核に感染したことが判明した。キャンプイン前に感染の事実を知っていたが同行し、チームと同宿していたもよう。この日は主力組の顔写真撮影の予定だったが、急きょキャンセルされた。幸いにも症状を訴えている選手はいないが今後、感染する可能性が少なからずある。昨夏のインフルエンザ禍に続く、悩みの種を開幕前に抱えてしまった。

 早朝から、警報が鳴った。日本ハムの主力選手は午前8時30分から選手名鑑などで活用する顔写真撮影を行うはずだったが、取りやめられた。理由は結核。前日2日に、公式カメラマンを務めている50代男性の感染が分かり、この日の午前中に隔離入院の措置がとられた。体調を崩したり、症状を訴える選手は現在いないという。

 同カメラマンは1月中旬から体調を崩し、キャンプ地入りする前の1月27日に札幌市内の病院で検査を受けていた。球団は、すでに結核感染を知っていたのではないかと見ている。検査後の通院がないため、同病院が同カメラマンの勤務する「道新文化事業社」へ連絡したところ、キャンプに同行していることが分かったという。島田利正球団代表(54)は「無責任というか、常識的に考えられない」と不快感をあらわにした。

 同カメラマンは梨田監督らコーチ陣、選手とは別棟だが、同じホテルに宿泊。打撃投手ら裏方スタッフと同じフロアで寝泊まりしていた。1日には1軍選手、スタッフの集合写真を、2日も練習を撮影していた。結核が肺結核の場合、空気感染する可能性がある。選手会長の田中は「みんなで注意してやっていくしかない」と気丈に話した。

 同カメラマンはすでに発症していたと思われる1月28日に2軍施設の千葉・鎌ケ谷で若手選手の顔写真撮影は済ませていた。この日の練習終了後に宿舎で、急きょ選手らが集められ、中垣チーフトレーナーから事情、今後の対応法が説明された。チーム関係者に長時間にわたる濃厚接触がなかったため、感染の危険性が少ないとの見解。今後は札幌、沖縄の両保健所の指導に従い適宜、対処していく。同トレーナーは「キャンプの大勢には影響がない」と当面は推移を見守っていく。島田球団代表は「選手に聞き取り調査をしたい」と話した。

 保健所から行動制限や集団検査などの指導はなく、4日から通常通り活動する。6日に名護市内の屋内練習場で行われる「ファンの集い」も、実施する方向で調整。ただ忘れたころに、潜伏感染してから発症する場合もある。梨田監督が「昨年インフルエンザになったけれど、それと違う」と話した緊迫感が、事態の深刻度を物語っていた。猛威を振るったインフルエンザ禍に続き、見えない敵が今季も突如、現れた。【高山通史】

 [2010年2月4日9時35分

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