日本ハムに新加入した木田優夫投手(41)が4日、沖縄・名護キャンプ地の1軍ブルペンで、首脳陣の想像を絶する160球の熱投を演じた。投球を見守った梨田監督は今季、ローテーションの谷間など先発としての起用を示唆。プロ入団から今季24年目を迎える不死鳥が、日米延べ8球団目の新天地で羽ばたく。

 チーム最年長右腕の、最後は声を出すほどの熱投が指揮官を決意させた。沖縄・国頭村での2軍キャンプが雨天中止となり実現した名護での“出張ブルペン”。木田は、2軍から訪れた他の投手陣が次々と投球練習を終える中、直球を主体にスライダー、シンカーなどの変化球も交え160球も投げ込んだ。

 100球を超えたあたりでは屈伸で間を置き、120球を超えたあたりでは帽子を脱いで大粒の汗をぬぐった。終盤に苦しい声を出したが「声くらい出さないとやってられません。(疲れは)だいぶあります」。吉井2軍投手コーチには100球程度と伝えていたが、予定の球数を大きく上回り、同コーチから「罰金だ」と指摘されるほどのハッスルぶりだった。

 視察した梨田監督もベテランの奮闘に驚きを隠せなかった。投球練習後、「先発として調整するよう伝えた。(球数を)投げたねー。元気だねあの歳で。気持ちが前向き。昔は150キロを超える速球を投げ、メジャーでも投げた投手。力になってくれるんじゃないかな」。当初は流動的な起用プランだったが、球数が多い先発でも一気に活路が開けた。

 今回は球数を多く投げた後の状態を確認するための“作業”だったが、先発陣に食い込む猛烈デモにもなった。梨田監督の先発起用プランについて、木田は「そういう準備はもちろんするし、それは監督が決めることなので」と、ベテランらしく淡々と受け止めた。チームの起用方針に従うつもりだが、頼もしい存在には違いない。【石井克】

 [2010年2月5日10時58分

 紙面から]ソーシャルブックマーク