バットハンターだ!

 中日の新外国人エドワード・バルデス投手(29=ロッキーズ3A)が5日、沖縄・北谷キャンプでフリー打撃に登板し、得意のカットボールで野本のバットをへし折った。「いつものことさ。オレは打者のバットを折るのが大好きなんだ」とニヤリ。ドミニカ・ウインターリーグではドミニカの英雄、ルイス・ポローニャのバットも折ったことがあるといい、独特の曲がり方をする“バルカット”は他球団の打者への脅威となりそうだ。

 スタンドがどよめいた。バルデスがフリー打撃に登板し、左打者野本のバットをボキッ!

 内角に投じた得意のカットボールで打棒を真っ二つに裂き、観客の視線をくぎ付けにした。

 「バットを折るのはいつもこと。普通だよ。(左打者の)内に入ったから(芯が外れて)折れたんだと思う」。

 自慢のカットボールだ。今オフのドミニカ・ウインターリーグでは、かつてアスレチックスやブレーブスでワールドチャンピオンに輝いたドミニカの英雄、ルイス・ポローニャ外野手のバットも折ったほど。ドミニカ人では珍しく、普段はあまり表情を出さないが、この日は「打者のバットが折れるのはうれしいよ。オレはバットを折るのが好きなんだ」とニヤリ。「今日は100%の力を発揮できたと思う」と来日後、初の笑顔を浮かべた。

 対戦した野本は「独特ですよね。カットボールは普通、多少は落ちるんですが、浮き上がりながら曲がる感じ。球も速い」と証言。ボールを受けた松井雅も「打者として一番嫌なのがカットボールだと思う。ほとんど真っすぐで、直前で横に滑る。左打者はあれは詰まっちゃいますね」と、印象を語った。大きく曲がるスライダーで松井佑から空振りをとる場面もあった。この日は野本、松井佑に対し、43球を投げ、23スイング中ヒット性の当たりは4本と上々の出来。得意の変化球で早くも存在感をみせつけた。

 フリー打撃登板後はセットポジションでのゆったりしたフォームを封印し、クイックを反復するなど、日本で成功するための練習も着々。もともと制球には定評があるだけに、得意球“バルカット”でセ・リーグ各打者のバットをへし折れば、嫌がられる存在となりそうだ。【福岡吉央】

 [2010年2月6日10時48分

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