ブラ砲は今年も健在だ!

 中日トニ・ブランコ内野手(29)が6日、シート打撃で山内から左翼席に弾丸ライナーを放ち、持ち前のパワーを見せつけた。三塁ライナーと思わせてグンと伸び上がる打球に、巨人007も驚嘆の声を挙げた。昨年よりも7キロ増の115キロで来日するなど、心配された調整不足も一蹴。実戦初戦となる13日韓国三星戦(北谷)の出場を志願していることも明らかになるなど、優良ぶりを存分にアピールした。

 あっという間にスタンドの芝生に着弾した。ブランコが山内から放った打球は、低いライナー性の弾道で左翼席まで一直線で届く、実戦形式での今季初アーチとなった。この日から始まったシート打撃の6打席目。全体でも柵越えはこの1発だけで「チーム1号」にもなった。スタンドから拍手がわき起こると、ブランコはネット裏で見守っていた森ヘッドコーチに向けてバットを突き出し、うれしそうにウインクしてみせた。

 「少しずつ自分のリズムを取り戻してきたよ」。それまでの打席では散々な結果だった。5度の打席で1度もヒットが出ず、2三振、1四球。伊藤には振り遅れで右飛に仕留められ、清水昭には外角へのスライダーの前に空振り三振に倒れるなど、なかなか快音が出なかった。それでも、オレ竜の主砲は最後の打席でしっかりと結果を残してみせた。

 ネット裏で見守っていた巨人・田畑スコアラーも文字通り仰天していた。「あっという間にレフトスタンドに届いちゃった。最初はサードライナーかと思ったのに…。あの打球は尋常じゃない。あれだけパワーがあると、正しい攻め方をしてもやっぱり怖い。あのパワーだけは変わっていないということだけはきょう確認できました」と完全に脱帽だった。

 今年のブランコは、昨年よりも7キロ増の115キロで来日した。体も一回り大きくなり、動きの鈍さが若干気になるが、パワーは今年も健在だった。それでも現状に甘んじることはない。「今はまだ足腰ができていないんだ。昨年より体重が増えているから、まずは練習して105~110キロのベスト体重にしたい。そして守りをしっかりしたいね」。シート打撃後も、室内練習場で約1時間に渡ってフリー打撃とマシン打撃に取り組み、さらにノックにも参加。理想の体形を目指すために、精力的に体にムチを打った。

 昨年は39本塁打を放ち、ホームラン王に輝いたが、今年もその意欲は衰えない。「神様が打たせてくれるなら、昨年以上のホームランを打ちたいね」。目指すは40本以上。ただでさえ頼れるB砲が、より頼もしくなるセリフを口にした。【福岡吉央】

 [2010年2月7日11時23分

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