巨人ドラフト3位の土本恭平投手(24=JR東海)が、中継ぎ争いに堂々と名乗りを上げた。8日、フリー打撃に登板。フォークで亀井の体を少し泳がせた。巧みなバットコントロールで拾われたが、ゴロが力なく二塁付近に転がる。プロへの扉をこじ開けた自慢のボール。開幕1軍への第1歩を刻むには十分だった。それでも「(全体の)感じ的には良かったですが、フォークの精度をもっと上げていきたい」と、謙虚な姿勢を崩さなかった。

 “初登板”にも、落ち着き払っていた。脇谷にはオール直球で19スイング中、安打性の打球は5本。亀井にはスライダー2球、フォーク3球を交え、14スイングで1本塁打だった。「実は心臓がバクバクでした。必死に平常心を保とうと」。ポーカーフェースで、乱れる心を制御した。

 亀井の口から飛び出たのは、日本を代表する2投手の名前だった。「フォークにキレがあって、直球にスピードが出てくれば、(中日の)浅尾に似てるかな。フォーク?

 五十嵐さんのようだった」と証言。ネット裏から視察した中日筒井スコアラーは「フォークがいいですね。浅尾と投げ方が似ているし、タイプは一緒」と警戒した。

 プロを意識したのは社会人2年目。「僕は1度も表舞台に出ていない。注目されたことなんてないですから」と笑う。巨人では上原が背負った背番号「19」を伝承。重圧に押しつぶされるどころか「今ここにいるのが夢みたいだし、意識しないようにしてます」と淡々と話す。期待のルーキーは無限の可能性を秘めるV4への隠し玉だ。【久保賢吾】

 [2010年2月9日8時12分

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