阪神城島健司捕手(33)がキャンプ第2クール3日目の8日、ウワサの殺人けん制を披露した。一塁に入った真弓明信監督(56)を相手に、座った体勢のままのノーステップ送球をズバッ!

 盗塁阻止だけでなく、多くの投手陣を助けてきた自慢の強肩の本領を見せつけた。打ってはキャンプ初の特打に取り組むなど、最多の255スイング。やはりこの男は攻守に虎を変える男や。

 ご存じ、城島の十八番が、真弓監督に発した突然のメッセージでお披露目された。僕のけん制球を受けてもらえませんか-。シートノック前。防具姿で捕手の定位置に入ると、一塁付近で練習を見守っていた指揮官に声をかけた。「監督がベースの近くにいましたからね。オーナーがグラブ持ってたらオーナーにも投げますよ」(笑)。一選手が監督に捕球役をお願いするのも度胸がいるが、その送球もまた規格外だ。

 立ってワンステップ踏んだ鋭い8球は、肩慣らしに過ぎなかった。お次はなんと、座って真弓監督の返球を捕球した体勢のまま、ノーステップで投げ返したのだ。うなる白球が低い弾道のまま、バシッとグラブをたたく。さらには両ひざもついたまま、肩とスナップだけのけん制も魅せた。ラスト1球は立ってズバッ!

 中日007らの目の前で、惜しげもなくウワサの殺人けん制を見せつけた。

 「あれは左打者の時が(走者には死角になって)1番見にくいからね。リードの歩幅も変わってくる。相手にけん制あるぞと思わせるだけでも防御になる」

 城島も胸を張った。このウルトラけん制が、どれほどホークスやマリナーズ投手陣を救ってきたか。証人は誰あろう、かつて痛い目に遭わされた真弓監督だ。「近鉄(コーチ)の時はアレに気をつけようと言っていた。相手からすると頭に入れておかないと」。出塁して油断した走者を瞬間で奈落に落とす。「回転のいいボールで、球の進みもいいしコントロールもいい」。城島の強肩健在を監督自ら肌で再確認した。

 昨年阪神の盗塁阻止率はリーグ4位の3割5厘で、足でかき回された試合も目立った。だが07年マ軍時代にメジャー最高阻止率(4割6分5厘)を記録した城島には、鬼に金棒の必殺けん制まである。「僕のスタイルは投げることだしどんどん投げます。(一塁の)ブラゼルが見てない時にも投げてやる。大きいからどっかに当たるでしょう」。ノールックスローも予告した。

 さらにポイント確認に徹して柵越え0本に終わった49振のフリー打撃に加え、ドームで移籍後初の居残り特打(91振)も敢行、特大のアーチ性を連発した。ティーと合わせた255スイングは今キャンプ最多の激振だ。かつてない強肩強打、強心臓を持つキラー城島が虎の戦いを変える。

 [2010年2月9日11時32分

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